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2012年03月07日

独学院 犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪から

参りましょう。

<犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪>

 犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪は、その保護法益を犯罪の捜査、審判及び刑の執行に関する国家の権能、すなわち国家の刑事司法作用とし、その侵害を内容とする犯罪である。

 その類型として、犯人蔵匿罪[103条]、証拠隠滅罪[104条]、証人等威迫罪[105条の2]がある。

<犯人蔵匿罪>

 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられる[103条]。

 犯人蔵匿罪の客体は、罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者である。

 罰金以上の刑に当たる罪とは、法定刑が罰金以上の刑を含む罪をいう。

 罪を犯した者の意味については、真犯人であることを要すかについて争いがあるが、判例は、刑法103条は司法に関する国家の作用を妨害する者を処罰しようとするものであるから、罪を犯した者は、犯罪の嫌疑によって捜査中の者を含むと解釈しなくては、立法の目的を達し得ないとする。また、同様の理由から、罪を犯した者には、犯人として逮捕・勾留される者も含まれる、とする。

 また、真に罰金以上の刑にあたる罪を犯した者であることを知りながら、官憲の発見、逮捕を免れるように、その者をかくまった場合には、その犯罪がすでに捜査官憲に発覚して捜査が始まっているかどうかに関係なく、犯人蔵匿罪が成立する、とした。


<犯人蔵匿罪の行為・故意>

 犯人蔵匿罪の行為は、蔵匿し、又は隠避させることである。

 蔵匿とは、官憲の発見・逮捕を免れるべき場所を提供してかくまうことをいう。

 隠避とは、蔵匿以外の方法で、官憲の発見・逮捕を免れさせる一切の行為をいう。
 例えば、犯人に金員を供与したり、他人を身代わり犯人として、警察に出頭させ、警察官の取調べに対し、虚偽の陳述をさせた場合が隠避にあたる。
 また、罪を犯した者には、犯人として逮捕・勾留されている者も含まれるが、このような者について現になされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為も同条にいう隠避にあたると解されている。
 なお、隠避の場合を犯人隠避罪ということがある。

 犯人蔵匿罪の故意の内容について、蔵匿・隠避の客体が、罰金以上の刑にあたる罪を犯した者、又は拘禁中逃走した者であることについては、どの程度の認識が必要であるかか問題であるが、判例は、犯罪の嫌疑によって捜査中の者をも含むと解するのであるから、真犯人であるかどうかの認識は不要であるとした。また、非蔵匿者が密入国者であることを認識してこれを蔵匿した以上、その刑が罰金以上であることの認識がなくても、犯人蔵匿罪が成立する、とした。

<証拠隠滅罪>

 他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられる[104条]。

 証拠隠滅罪の客体は、他人の刑事事件に関する証拠である。
 他人とは、行為者以外の者をいう。
 証拠とは、刑事事件につき、捜査機関又は裁判機関が、国家刑罰権の有無を判断するに当たり、関係があると認められる一切の資料をいう。物証の他、証人・参考人等の人証も含む。そして、証拠は、刑事事件に関するものに限られており、民事事件の証拠を隠滅しても証拠隠滅罪は成立しない。
 刑事事件は公訴提起後の刑事被告事件だけでなく、控訴提起前の被疑事件、さらには、将来、係属しうるものも含まれると解されている。
 
 証拠隠滅罪の行為は、隠滅、偽造、変造、偽造・変造の証拠の使用である。このうち、隠滅とは、証拠そものもを滅失させる行為のほか、証拠の顕出を妨げ、又はその証拠価値・効力を滅失・減少させるすべての行為をいう。証拠物件を廃棄・隠匿する行為はもちろん、証人となるべき者又は参考人となるべき者を隠匿する行為も隠滅にあたる。

<犯人等による犯人蔵匿罪等の教唆>

 犯人蔵匿罪・証拠隠滅罪は行為者以外の他人を蔵匿・隠避し、あるいは他人の刑事事件に関する証拠を隠滅する犯罪であるから、犯人や逃走者がみずから犯人蔵匿あるいは証拠隠滅を行っても犯罪は成立しないが、他人を教唆して自己を蔵匿・隠避させ、あるいは自己の刑事事件に関する証拠を隠滅させた場合に犯人蔵匿罪・証拠隠滅罪の教唆犯が成立するかどうかが問題となる。

 この点につき判例は、多数説である肯定説の立場に立つ。すなわち、犯人蔵匿罪につき、犯人自身の単なる隠避行為は、いわゆる防御の自由に属するが、他人を教唆した自己を隠避させ、犯人蔵匿罪を実行させるに至っては、防御の濫用に属し、法律の放任行為として干渉しない防御の範囲を逸脱したものといわざるをえないから、被教唆者に対し、犯人隠避罪が成立する以上、教唆者である犯人は犯人隠避教唆の罪責を負わなければならない、とした。また、証拠隠滅罪についても、教唆犯の成立を認めている。

 なお、肯定説には、犯人・逃走者自身が行う場合と異なり、他人を教唆した場合には、他人を罪におとしいれるものであるから、もはや期待可能性がないとはいえないということを主たる理由とする見解もある。

<親族による犯人蔵匿罪、証拠隠滅罪に関する特例>

 犯人蔵匿の罪[103条]、証拠隠滅等の罪[104条]については、犯人又は逃走した者の親族が、これらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除される場合がある[105条]。

 親族による犯人の蔵匿等や、証拠の隠滅等は、親族間の人情に基づく行為であって、適法行為の期待可能性が少なく、責任が減少すると考えられることから、裁量的な刑の免除事由とされた。

つづく・・・
ラベル:刑法各論
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 11:27| Comment(0) | 刑法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月06日

独学院 国家の作用に対する罪から

参りましょう。

<国家の作用に対する罪>

 刑法は、国家の立法、行政、司法の各作用が、円滑・公正に行われるようにするため、国家の作用に対する罪を規定している。
 なお、これらの中には国家自体の作用を害するものの他、地方公共団体等の作用を害するものも含まれている。すなわち、逃走の罪、犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪・偽証の罪がもっぱら国家自体の作用を害する犯罪類型であるのに対し、公務の執行を妨害する罪、汚職の罪、虚偽告訴の罪は、地方公共団体の作用をも害する犯罪類型である。

<公務の執行を妨害する罪>

 公務の執行を妨害する罪の保護法益は、公務の執行、すなわち国又は地方公共団体の作用である。公務員は、保護の客体ではなく、行為の客体にすぎない。

 公務の執行を妨害する罪には、公務執行妨害罪[95条1項]、職務強要罪[95条2項]、封印等破棄罪[96条]、強制執行妨害罪[96条の2]、競売等妨害罪[96条の3第1項]、談合罪[96条の3第2項]の類型がある。

<公務執行妨害罪>

 公務員が職務を執行するにあたり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万以下の罰金に処せられる[95条1項]。

 公務執行妨害罪の主体となり得る者については、制限されていない。公務員の職務執行の客体である者でなくても、主体となり得る。そのような者でない第3者でも保護法益である公務の執行を妨害することができるからである。たとえば、友人が警察官に逮捕されるところに居合わせた者が、その警察官に暴行を加えて友人の逮捕を妨害するような場合である。
 公務員であっても、主体となり得る。

<公務執行妨害罪の客体>

 公務執行妨害罪の保護法益は、公務の執行であるが、行為の客体は公務員である。ただし、公務執行妨害罪は、わが国の公務の執行を保護法益とするものであるから、外国の公務員は、行為の客体にはならない。

 公務員には、特別法上、公務員とみなされる者を含む。たとえば、日本銀行の職員[銀行法19条1項]等は、公務に従事する職員に準ずる性格を有するので、公務員とみなされ、その職務について、公務員と同様の保護が与えられるのである。

<公務執行妨害罪の行為>

 公務執行妨害罪における行為は、公務員が職務を執行するにあたり、これに対して暴行又は脅迫を加えることである。
 職務については、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてを含むとするのが判例・通説である。したがって、たとえば、国立大学における事務や講義等に関してなされた暴行又は脅迫についても公務執行妨害罪が成立する。

<職務の適法性>

 職務の執行は、適法になされることを要する。刑法上、そのことは規定されていないが、違法な公務員の行為まで保護する必要は無いとして、職務の適法性を要件に加えるのが判例・通説である。

 職務が適法であるという為には、一般に、@行為が、当該公務員の抽象的職務権限[一般的職務権限]に属すること、A当該公務員がその職務を行う具体的職務権限を有すること、Bその行為が、公務員の職務行為の有効要件である法律上の重要な条件・方式を履践していること、という要件が必要であるとされている。

 @については、公務員は、通常、その職務の範囲が法令上限定されており、その範囲を逸脱してなされた行為はもはや公務の執行とはいえないことから必要とされる。たとえば、巡査が行う租税の徴収は適法な職務とはならない。

 Aについては、当該公務員に抽象的職務権限があるだけでは、なお公務員の具体的な職務執行と言えない場合が多いことから必要とされる。たとえば、執行官が適法に民事執行を行うことができるのは、自己に委託された事件に限るとされている。

 Bについては、公務員の職務行為には、その有効要件として、法律上、一定の条件・方式が要求されることが多く、それらの重要な部分を欠く職務は保護に値しない、ということから要求される。

<職務の適法性の判断基準>

 職務の適法性が構成要件要素であるとして、適法性はどのように判断するのか、その判断基準が問題となる。
 この点については、当該公務員が適法と信じたかどうかで決定したり[主観説]、一般人の見解を基準として決定する[折衷説]のではなく、裁判所が客観的に法令を解釈して客観的に決定すべきであり[客観説]、また、事後的に純客観的な立場から判断されるべきではなく、行為当時の状況に基づいて客観的、合理的に判断されるべきであるとする、とするのが判例の立場である。


<職務を執行するに当たりの意義>

 職務を執行するに当たりとは、職務を遂行するに際して、の意味であるとされている。すなわち、職務の執行を開始しようとした時から、職務の執行を終えた時点までの時間的範囲を指す。職務の執行中はもちろん、職務の執行に着手しようとしている場合も含まれるが、職の執行後は含まれない。

 具体的には、休憩中や一時的に雑談をしている場合、職務を執行するために待機中の場合等が問題となる。
 この点、判例は、95条1項の趣旨は、公務員によって行われる公務の公共性にかんがみ、その適正な執行を保護しようとするものであるから、その保護の対象となるべき職務の執行というのは、漫然と抽象的・包括的に捉えられるべきものではなく、具体的・個別的に特定させていることを要するものと解すべきとしている。

 そして、同条同項に「職務を執行するに当たり」と限定的に規定されている点からして、ただ漫然と公務員の勤務時間中の行為は、すべて職務執行に該当し保護の対象となるものと解すべきではなく、具体的・個別的に特定された職務の執行を開始してからこれを終了するまでの時間的範囲、及びまさに当該職務の執行を開始しようとしている場合のように当該職務の執行と時間的に接着しこれを切り離し得ない一体的関係にあるとみることができる範囲内の職務行為にかぎって、公務執行妨害罪による保護の対象となるものと解するのが相当であるとする。

 もっとも職務の性質によっては、その内容、職務執行の過程を個別的に分類して部分的にそれぞれの開始、終了を論ずることが不自然かつ不可能であって、ある程度継続した一連の職務として把握することが相当と考えられるものもあるが、そのような職務については、ある程度継続した一連の職務として把握するとしても当該職務行為の具体性・個別性を失うものではない、とした。※

※ 日本電信電話公社[現NTT]の電報局長の、局の事務全般を掌握し部下職員を指揮監督する職務及び同電報局次長の、局長を助け局務を整理する職務。

≪暴行・脅迫>

 公務執行妨害罪においては、暴行・脅迫によって職務の執行を妨害する必要があり、暴行・脅迫以外の方法、たとえば偽計により職務を妨害する行為は、公務執行妨害罪を構成しない。

 公務執行妨害罪における暴行又は脅迫は、それぞれ広義の暴行・脅迫である。

 公務執行妨害罪における暴行は、不法な有形力ないし物理力の行使が公務員の身体に対してなされる必要は無く、公務員に向けられていれば足りる。すなわち、公務員の職務の執行に当たりその執行を妨害するに足りる暴行を加えるものである以上、それが直接公務員の身体に対するものであると否とは問われない。
 したがって公務員の指揮の下に、その手足となって、職務の執行に密接不可分の関係にある補助者に加えられる場合や、物に対して加えられた有形力が公務員の身体に物理的に強い影響を与え得る場合[間接暴行]でもよいとされる。

 たとえば、執行官がその職務をなすに当たり、公務員でないがその補助者として、当該執行官の命により、その指示に従って被告人方の家財道具を屋外に搬出中の者に対し暴行・脅迫を加えた場合、公務員である執行官に対して直接なされたのではないとしても、当該執行官の職務の執行を妨害する暴行・脅迫に該当するとされ、また税務署員が差押えた密造酒入りの瓶を鉈で粉砕し内容物を流失させる行為や公務員が密造タバコを押収しトラックに積み込んでいた際に、トラックに乗り込んでタバコを街路上に投げ捨てた行為も、公務員に対して加えられた暴行と解すべきものとされた。

 公務執行妨害罪における脅迫は、恐怖心を起こさせる目的で他人に害悪を告知することの一切を含む。必ずしも、直接に公務員に対してなされる必要は無く、第三者に対する脅迫でも、公務員の職務の執行を妨害しうるものであれば足りる。

■ 覚せい剤取締法違反の現行犯人を逮捕した現場で、警察官が証拠物として適法に差し押さえ、整理中の覚せい剤注射液入アンプルを警察官の面前で踏みつけて損壊すれば、公務執行妨害罪が成立する。

<解説>

 公務執行妨害罪における暴行は、不法な有形力ないし物理力の行使が公務員の身体に対してなされる必要は無く、公務員に向けられていれば足りる[広義の暴行概念]。公務員の職務の執行に当たり、その執行を妨害するに足りる暴行を加えるものである以上、それが直接公務員の身体に対するものであると否とは問われないのである。
 設問における行為、すなわち警察官が証拠物をして適法に差し押さえ、整理中の覚せい剤注射液入アンプルを警察官の面前で踏みつけて損壊する行為は、直接、警察官に向けられていはいないが、公務員の職務の執行に当たり、その執行を妨害するに足りる暴行であるといえる。
 したがって、設問の暴行について公務執行妨害罪[95条1項]が成立する。 

<既遂時期>

 公務執行妨害罪は、暴行・脅迫が行われれば直ちに既遂に達する。現実に公務員の職務の執行が妨害されたことは要しない。暴行・脅迫は、公務員の職務の執行に当たりその執行を妨害するに足りるものでなけらばならないから、暴行・脅迫を加えること自体が、妨害と解されるのである。
 なお、この意味で、通説は本罪を抽象的危険犯であるとする。

<故意>

 公務執行妨害罪の故意の内容は、相手方が公務員であること、及びその公務員が職務を執行するに当たり、暴行・脅迫を加えることの認識である。

 公務の執行を妨害する目的は不要である。

<封印破棄罪>

 公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し、又はその他の方法で無効にした者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられる「96条」。

 封印等破棄罪は、公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し又はその他の方法で無効にすることを通じて、公務の執行を妨害する犯罪である。

 封印とは、物に対する任意の処分を禁止するために、開くことを禁止する意思を表示して、その外装に施された封緘[ふうかん]等の物的設備をいう。たとえば、執行官が債務者に差押物を保管させる場合の差押物について封印[民執法123条3項]がこれに当たる。
 封印等破棄罪における差押えとは、公務員がその職務上保全すべき物を自己の占有に移す処分をいい、その処分を明白にするのが差押えの表示である。すなわち、差押えの表示とは、貼札や立札等、差押えによって取得した公務員の占有を明らかにするために施された表示であって、封印以外のものをいう。

 損壊とは、物質的に毀損・破壊して、事実上の効力を減殺・滅却することをいう。
 その他の方法で無効にするとは、封印・差押えの表示自体を物質的に破壊することなく、その事実上の効力を減殺・滅却することをいう。

<強制執行妨害罪>

 強制執行を免れる目的で財産を隠匿し、損壊し、若しくは仮装譲渡し、又は仮想の債務を負担した者は、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる[96条の2]。

 強制執行妨害罪の保護法益については争いがあるが、判例は、強制執行は、債権の実行のための手段であって、96条の2は究極するところ債権者保護をその主眼とする規定であるとし、もっぱら債権者の債権の実現という利益を保護するものであるとの見解をとっている。

 強制執行妨害罪は目的犯であり、強制執行を免れる目的を必要とするが、現実に強制執行を免れたことは必要ではなく、現実に強制執行の全部又は一部が実行されたことも必要でない。

 そして、強制執行とは、民事執行法による強制執行又はこれを準用する強制執行をいう。国税徴収法に基づく滞納処分については、差押えその他の執行手続に関し、同法に詳細に規定されていて、民事執行法の強制執行に関する規定を準用するものではないことから、ここでいう強制執行には含まれない。

<競売等妨害罪>

 偽計または威力を用いて、公の競売又は入札の公正を害すべき行為をした者は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処せられる[96条の3第1項]。
 公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した者も、同様とされる[同条第2項]。
 96条の3の保護法益は、公の競売又は入札の公正であるが、公の競売又は入札への干渉の態様により、競売入札妨害罪[1項]、談合罪[2項]が規定されている。

 競売入札妨害罪における公正を害すべき行為とは、公の競売又は入札に不当な影響を及ぼすような行為をいう。談合行為も本来含まれるはずであるが、談合罪がある関係で競売入札妨害罪では処罰されない。
 偽計又は威力を用いて公の競売又は入札の公正を害すべき行為があれば、現実に公の競売又は入札の公正が害されなくても、直ちに既遂に達する。

 談合罪における談合とは、公の競売又は入札において、公正なる価格を害し又は不正な利益を得る目的で、競争者が互いに通謀してある特定の者をして、契約者たらしめるため他の者は一定の価格以下又は以上に入札しないことを協定することをいう。それ以上その協定に従って行動されたことを必要としない。

 談合罪の主体について、判例は、多くの場合、競買等の希望者であろうが、これに限られる必要は無く、自らはその希望を持たない者であっても、自己と特別な関係にある競買等の希望者があって、これに影響を及ぼすことのできる地位にあるものであれば足りるものと解するのが相当である、としている。

つづく・・・
ラベル:刑法各論
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 12:06| Comment(0) | 刑法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月05日

独学院 公然わいせつ罪から

参りましょう。

<公然わいせつ罪>

 公然とわいせつの行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処せられる[174条]。

 本罪の保護法益は、公衆の健全な性的風俗である。

 「公然」とは、不特定又は多数人が認識できる状態をいう。
 「わいせつの行為」とは、その行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行動であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいう。

<わいせつ物頒布等罪>

 わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料に処せられる。犯罪の目的でこれらの物を所持した者も、同様に処せられる[175条]。

 わいせつな画像を録画したビデオテープ、わいせつな音声を録音したテープ、わいせつな画像を記憶、蔵置させたホストコンピュータのハードディスクは、わいせつ物にあたるとされる。

 本罪の行為は、わいせつ物の頒布、販売、公然陳列、又は販売目的をもって所持することである。
 「頒布」とは、不特定又は多数人に対して配布することをいい、「販売」とは、不特定又は多数人に対して有償で譲渡することをいう。
 「公然と陳列」するとは、不特定又は多数人が認識できる状態に置くことをいう。不特定又は多数人に対する、映画フィルムの上映、わいせつな音声を録音したテープの再生がこれにあたる。また、ダイヤルQ2の回線を通じて、誰でも、どこからでも聴取できる状態にする行為も公然陳列にあたるとされる。

 「販売目的所持」の販売目的は、本罪が日本国内における公衆の健全な性的風俗を保護するものであるから、国内での販売目的をいい、国外での販売目的は含まない。

<賭博罪・常習賭博罪>

 賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処せられる。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りではない[185条]。

 常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処せられる[186条1項]。

 賭博は、国民に怠惰浪費の弊風を生じさせ、勤労の美風を害するばかりでなく、甚だしいと暴行その他の副次的犯罪を誘発し、または国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれすらあることから、処罰される。

 「賭博」とは、2人以上の物が偶然の事情に係る勝敗によって財物の得喪を争うことをいう。
 偶然性は、当事者間において確実に予測できないという意味であり、当事者の技能が勝負の決定に影響するものであってもよい。判例は、囲碁について賭博罪の成立を肯定した。
 当事者の一方が詐欺的手段によって勝敗を支配している場合には、詐欺的手段をした者について詐欺罪が成立するが、他方の者には賭博罪は成立しないとされる。

 賭博で得喪を争う財物は、有体物に限らず、財産上の利益の一切である。
 ただし、一時の娯楽に供する物、つまり、関係者が娯楽のために消費するような物を賭けたにとどまるときは、賭博罪は成立しない[185条後段]。その場で消費してしまうお菓子、食事などを賭ける場合である。

<死体等損壊罪>

 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処せられる「190条」。

 本罪は、宗教生活上の善良な風俗、国民の正常な宗教的感情を保護法益とする。

 死体の「損壊」とは、死体を物理的に損傷、毀壊[きかい]する場合をいう。

 「遺棄」とは、死体を他の場所に移して遺棄する場合のほか、習俗上の埋葬とは認められない方法で放棄することをいう。
 行為のみならず、不作為によるものも含まれる。ただし、不作為による死体遺棄は、法律上死体の埋葬義務のある者についてのみ成立する。
 判例は、埋葬の責務を有する者が、葬祭の意思なく死体を放置して立ち去ることは遺棄にあたるとした。

つづく・・・
ラベル:刑法各論
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 11:24| Comment(0) | 刑法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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