にほんブログ村 資格ブログ 司法書士試験へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ

何の記事を読むか、クリックしてね。

憲法 民法 民事保全法 民事訴訟法 民事執行法 供託法

不動産登記法 商業登記法 会社法 刑法


2012年01月10日

独学院 仮執行宣言の手続から

ささ、参りましょう。

<仮執行宣言の手続>

 支払督促に執行力を付与するためには、仮執行宣言が必要となる。債務者が支払督促の送達を受けた日から督促異議の申立てをしないで2週間を経過すれば、債権者は支払督促に仮執行宣言を付するよう申し立てることができる。

 他方、債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から30日以内にその申立てをしないときは、支払督促は、その効力を失う。
 債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促に手続の費用額を付記して仮執行の宣言をしなければならない。

 仮執行宣言の申立却下処分に対しては、債権者は1週間の不変期間内に、その裁判所書記官の所属する裁判所に対し、異議を申し立てることができ、その裁判所がした決定に対しては即時抗告をすることができる。

●債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から30日以内に仮執行の宣言の申立てをしなかったときは、支払督促は、効力を失う。

<解説>

 債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から30日以内にその申立てをしないときは、支払督促は、その効力を失う。督促手続は、債権者に簡易・迅速に債務名義を取得させようとするものであるから、所定の期間内に仮執行の宣言の申立てをしないような債権者に支払督促の効果を与える必要はないからである。

<仮執行宣言の効力>

 仮執行宣言が付されると、支払督促に執行力が付与される。これにより債権者は、強制執行の申立てをすることができる。
 仮執行の宣言を付した支払督促に対し、督促異議の申立てがないとき、又は督促異議の申立てを却下する決定が確定したときは、支払督促は、確定判決と同一の効力を有する。「確定判決と同一の効力を有する」とは、執行力は有するが、既判力は有しないことを意味する。
 確定した支払督促に既判力を認めないのは、支払督促は裁判所書記官が作成するものであり、主張の真否について実体的な判断をしていないからである。

●仮執行の宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがなされなときは、支払督促は、執行力は有するが、既判力は有しない。

<解説>

 仮執行の宣言を付した支払督促に対し、督促異議の申立てがないとき、又は督促異議の申立てを却下する決定が確定した時は、支払督促は、確定判決と同一の効力を有する。「確定判決と同一の効力を有する」とは、執行力を意味し、既判力は含まれない。支払督促は、裁判所ではなく裁判所書記官が作成するものであり、主張の真否について実体的な判断をしていないからである。

<督促異議>

 債務者は、支払督促に対して、これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に督促異議という不服申立てをすることができる。
 督促異議は、仮執行宣言前の督促異議と仮執行宣言後の督促異議に分類できる。仮執行宣言前の督促異議は、通常訴訟に移行すればその督促異議の限度で当然に支払督促は失効する。
 これに対して、仮執行宣言後の督促異議は、仮執行宣言の付された支払督促に対する不服申立てであり、支払督促の確定は阻止されるが、仮執行宣言の執行力を当然に失わせるものではない。したがって、仮執行宣言に基づく執行を阻止するためには、執行停止の裁判を求めなければならない。

 また、適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったとみなされる。

●支払督促に仮執行宣言が付される前に債務者が督促異議の申立てをしたときは、支払督促は、その督促異議の範囲内において効力を失う。

<解説>

 債務者は、支払督促に対して、これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に督促異議という不服申立てをすることができる。
 仮執行の宣言前に適法な督促異議の申立てがあったときは、支払督促は、その督促異議の限度で効力を失う。

●支払督促に仮執行宣言が付された後に、支払督促に対し適法な督促異議の申立てがあったときには、支払督促はその督促異議の範囲内においても効力を失わない。

<解説>

 仮執行の宣言前に適法な督促異議の申立てがあったときは、支払督促は、その督促異議の限度で効力を失う。
 これに対して、仮執行宣言後に適法な督促異議が申し立てられると、支払督促の確定は阻止されるが、仮執行宣言の執行力は当然には効力を失わない。仮執行に基づく執行を阻止するためには、執行停止の裁判を求めなければならない。

●仮執行宣言を付した支払督促に対して適法な督促異議があったときでも、その支払督促に基づいて強制執行をすることができる。

<解説>

 仮執行の宣言前に適法な督促異議の申立てがあったときは、支払督促は、その督促異議の限度で効力を失う。
 これに対して、仮執行の宣言後に適法な異議が申し立てられると、支払督促の確定は阻止されるが、仮執行宣言の執行力は当然には効力を失わない。仮執行に基づく執行を阻止するためには、執行停止の裁判を求めなければならない。
 したがって、仮執行宣言を付した支払督促に対して適法な督促異議があったときでも、その支払督促に基づいて強制執行をすることができる。

●債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをせず、仮執行の宣言がされた後であっても、債務者は、仮執行の宣言を付した支払督促の送達を受けた日から2週間の不変期間内であれば、督促異議の申立てをすることができる。

<解説>

 債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促に手続の費用額を付記して仮執行の宣言をしなければならない。
 ただし、仮執行の宣言がなされた後でも、債務者は、仮執行の宣言を付した支払督促の送達を受けた日から2週間の不変期間内であれば、督促異議の申立てをすることができる。

●簡易裁判所は、支払督促に対する督促異議が不適法であると認めるときは、請求が地方裁判所の管轄に属する場合においても、その督促異議を却下しなければならない。

<解説>

 簡易裁判所は、督促異議を不適法であると認めるときは、督促異議に係る請求が地方裁判所の管轄に属する場合においても、決定で、その督促異議を却下しなければならない。

●支払督促に対し適法な督促異議の申立てがあったときは、これを発した簡易裁判所に訴えの提起があったものと当然にみなされるわけではない。

<解説>

 適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立てのときに、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされる。
 したがって、支払督促を発した簡易裁判所に訴えの提起があったものと当然にみなされるわけではない。

●適法な督促異議の申立てがあった場合において、債権者がその旨の通知を受けた日から2週間以内に訴えの提起をしないときは、支払督促の申立てを取り下げたものとみなされるわけではない。

<解説>

 適法な督促異議の訴えの申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされる。適法な督促異議の訴えの申立てがあったときは、当然に督促手続から通常の訴訟手続に移行するのであって、債権者が通知を受けた日から2週間以内に訴えの提起をしなくても、支払督促の申立てを取り下げたものとみなされるわけではない。

<電子情報処理組織による督促手続>

 督促手続に関する大量の事件を、迅速かつ効率的に処理することを可能とするため、電子情報処理組織を利用することができるように規定が整備された。
 すなわち、最高裁判所規則で指定する簡易裁判所(「指定裁判所」という。)の裁判所書記官が、これらの裁判所に近接する簡易裁判所の管轄事件も集中して、電子情報処理組織による督促手続を処理することができることになった。具体的には、東京地方裁判所管内、及び大阪地方裁判所管内の事件については、それぞれ東京簡易裁判所、大阪簡易裁判所の裁判所書記官に対して、電子情報処理組織を用いて取り扱う督促手続の申立てをすることができるとされた。(民事訴訟法第402条第1項に規定する電子情報処理組織を用いて取り扱う督促手続に関する規則1条)。

「支払督促のまとめ」

■要件

・金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求であること。

・債務者に対して日本国内において公示送達によらずに、送達が可能であること。

・条件付請求や期限付請求権など、ただちに執行することができない請求については、発することができない。

■付与機関

 裁判所書記官

■債務者の不服申立て方法

・支払督促を発付した裁判所書記官の所属裁判所への督促異議の申し立てによる。

■債務者の不服申立ての効果

・仮執行宣言前督促異議

 支払督促失効 → 通常訴訟手続(手形・小切手訴訟手続含む)による審判

・仮執行宣言後督促異議

 支払督促は失効しない → 執行停止の裁判が必要


民事訴訟法終わり。つづく・・・
ラベル:民事訴訟法
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 13:59| Comment(0) | 民事訴訟法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月09日

独学院 督促手続から

おはっす、参りましょう。

<督促手続>   督促手続 音声.wma

 金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。この支払督促の発付手続を督促手続という。
 強制執行のためには債務名義が必要であるが、督促手続は、請求の存否につき債権者と債務者に争いがない場合に、訴訟による債権の確定手続を経ることなく、簡易・迅速な手続で、債権者のために債務名義を与える手続である。

<支払督促の申立て>

(1)支払督促の申立ては、請求の価額に関わらず、裁判所書記官に対してする。
(2)支払督促の要件は、まず、金銭その他の代替物又は有価証券の一定数量の給付を目的とする請求であることが必要である。これは、執行が容易であるし、仮に誤って執行しても、原状回復が容易であるからである。
 また、債務者に対して日本の国内において公示送達によらずに、送達することができる場合に限られる。
(3)支払督促の申立てには、その性質に反しない限り、訴えに関する規定が準用される。
(4)条件付請求や期限付請求など、ただちに執行できない請求については発することができないとされている。

●支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。

<解説>

 支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
 督促手続においては、債権者の主張の真否についての実体的な判断は行わないし、債務者の督促異議の申立てがあったときは、訴訟訴手続きに移行することから、支払督促及び仮執行宣言については裁判所書記官の権限とされた。そこで、支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してすると規定されたのである。

●支払督促の申立てが管轄を有しない裁判所の裁判所書記官にされたときは、裁判所書記官は、その申立てを却下しなければならない。

<解説>

 支払督促の申立てについては、移送が認められていない。すなわち、支払督促の申立てが管轄を有しない裁判所の裁判所書記官にされたときは、その申立てを却下しなければならない。

●支払督促を発することができるのは、一定額の金銭の給付を目的とする請求に限られない。

<解説>

 支払督促を発することができるのは、金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求である。
 したがって、支払督促を発することができるのは、一定額の金銭の給付を目的とする請求に限られるものではない。

●支払督促の申立ては、請求の目的の価額が140万円を超えるときでも、することができる。

<解説>

 支払督促の申立ては、金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求についてすることができる。しかし、請求の目的の価額を制限する規定はない。したがって、支払督促の申立ては、請求の目的の価額が140万円を超えるときでも、簡易裁判所の裁判所書記官にすることができる。

●有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求についても、支払督促を発することができる。

<解説>

 金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促をすることができる。

●建物の明渡しを目的とする請求については、支払督促を発することができない。

<解説>

 金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。すなわち、支払督促が認められるのは、同条記載の請求のみであり、設問の建物の明渡しを目的とする請求については、支払督促を発することができない。

●支払督促は、日本において公示送達によらないで送達することができる場合に限り、発することができる。

<解説>

 金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。ただし、日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限られる。支払督促は、実体審査をせずに執行力が付与されるものであるから、債務者の異議申立ての機会を実質的に保障するべきであるが、外国において送達される場合は、債務者が督促異議を申し立てることができないおそれがあるからである。

●支払督促の申立ては、口頭でもすることができる。

<解説>

 支払督促の申立てには、その性質に反しない限り、訴えに関する規定が準用されている。口頭での支払督促の申立ては、簡易・迅速な手続である支払督促の性質に反するわけではない。したがって、支払督促の申立ては、口頭でもすることができる。

●支払督促は、債務者を審尋しないで発せられる。

<解説>

 支払督促は、債務者を審尋しないで発する。債務者は、督促異議の申し立てによる支払督促を失効させることができ、訴訟手続への移行を求めることができるし、債務者を審尋することを要求するのは、督促手続の簡易・迅速性に反する結果となるからである。

●裁判所書記官は、必要があると認めるときでも、支払督促を発するに当たり、債務者の審尋をすることができない。

<解説>

 支払督促は、債務者を審尋しないで発する。支払督促の簡易・迅速性を確保しようという趣旨である。一方で、同条2項は、債務者の督促異議の申立てを認めて、債務者の手続上の保護を図っている。

●支払督促は、債権者に送達することを要しない。

<解説>

 支払督促は、債務者に送達しなければならない。しかし、債権者に対しては、支払督促を発した旨を通知しなければならないが、送達を要求する規定はない。したがって、支払督促は、債権者に送達することを要しない。

●支払督促の申立てを却下した処分に対する異議申し立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることはできない。

<解説>

 支払督促の申立てがなされても、支払督促の要件を満たさないとき、若しくは裁判管轄外になされたとき、又は申立ての趣旨から請求に理由がないことが明らかなときは、裁判所書記官により申立ては却下される。
 申立て却下処分に対して、債権者は、その告知を受けた日から1週間以内であれば、異議を申し立てることができる。ただし、この異議申立てについてなされた裁判に対しては、債権者はさらに異議申立て(抗告等)をすることができない。
 したがって、申立て却下処分に対する債権者の異議申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができない。

つづく・・・
ラベル:民事訴訟法
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 10:12| Comment(0) | 民事訴訟法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月07日

独学院 少額訴訟から

おはっす、参りましょう。

<少額訴訟>     少額訴訟 音声.wma

 少額訴訟とは、簡易裁判所における、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払請求を目的とする簡易で迅速な特別の訴訟手続をいう。
 少額訴訟は、日常生活で生じた特に小規模な紛争について、一般市民が訴額に見合った経済的負担で、迅速かつ効果的な解決を裁判所に求めることを可能にすることを目的として設けられたものである。
 少額訴訟の例としては、たとえば、賃金の支払請求、建物の退去に伴う敷金返還請求、飲食代金の支払請求、売掛代金の支払請求等がある。

<少額訴訟制度が新設された理由>

 本来簡易裁判所は、訴額が140万円以下の比較的少額の事件の簡易・迅速な解決を図るために、設けられたものであり、地方裁判所に比べて手続が簡略化されている。そこで、従前においても少額な事件の解決は、簡易裁判所の手続に委ねられていた。
 しかし、簡易裁判所は地方裁判所と同じく第1審を担当することから、手続の基本的な構造は、地方裁判所と同じである。そのため、審理も極めて慎重になされたりして、簡易・迅速な紛争解決を目的とする簡易裁判所の訴訟手続本来の趣旨が生かされない事態が多く生じていた。
 そこで、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払請求を目的とする簡易で迅速な特別の訴訟手続である少額訴訟制度が設けられたのである。

<少額訴訟手続の対象>

 簡易裁判所が管轄する事件は訴額が140万円以下の事件であるが、少額訴訟の対象はそのうち60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えに限られる。ただし、60万円以下の金銭の支払の請求のすべてが少額訴訟で審理されるわけではなく、簡易裁判所の通常訴訟手続によることもできる。
 また、少額訴訟は金銭の支払請求に限られるので、物の引渡請求や金銭債務の不存在確認請求は、訴額が60万円以下であっても、少額訴訟を請求することはできない。

●訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについては、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。

<解説>

 簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。
 訴額の上限を60万円と設定したのは、簡易裁判所における民事通常新受事件に占める訴額60万円以下の事件の割合が、統計上かなりの割合に達していること、及びこの程度の額であれば、簡易・迅速性を強調する手続である少額訴訟制度に対する国民の理解も得られやすいと判断したことに基づく。

<少額訴訟制度の利用制限>

 少額訴訟制度は、一般市民が日常生活における少額の金銭に関する争いを簡易・迅速に解決するために設けられたものである。信販会社や消費者金融業者が少額訴訟制度を利用して、大々的に貸金債権の回収を図ることは防止する必要がある。
 そこで、信販会社や消費者金融業者の利用が増大し、一般市民の少額訴訟制度の利用が妨げられたり、大量の少額訴訟が1度に起こされて裁判所の機能が麻痺することを防止するために、少額訴訟の利用回数を制限した。すなわち、同一の簡易裁判所において同一の年に10回を超えた少額訴訟を提起することはできないとされた。

<手続の選択と通常訴訟への移行>

 少額訴訟の対象となる事件について、少額訴訟を選択するか否かの第1次的選択権を原告に認めた。原告が少額訴訟を選択する旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
 これに対して、被告は、原告が少額訴訟手続を選択した事件について、簡易裁判所における通常訴訟手続に移行させる旨の申述をすることができる。これは、原告に少額訴訟の選択権を認めたことから、被告にも通常訴訟への移行申述権を与えることが公平であるからである。ただし、被告が最初の口頭弁論期日に弁論し、またはその期日が終了した場合には、被告は通常訴訟への移行を申述することはできない。

 この被告の移行申述権の行使は、少額手続から通常手続への移行という手続の重大な相違をもたらすため、期日においてする場合を除き、確実性を図るために、書面でなすことを要する。この場合、裁判所書記官は、速やかに原告に対し手続が通常手続に移行した旨を通知しなければならない。

 また、裁判所としても、少額訴訟による審理及び裁判をなすのを相当でないと認める場合等には、通常の手続への移行決定をしなけらばならない。この決定に対しては、不服を申し立てることができない。この場合、裁判所書記官は、当事者に対し、通常手続へ移行した旨を速やかに通知しなければならない。

●少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。

<解説>

 少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
 訴額が140万円以下の事件は簡易裁判所の通常手続の管轄事項であるから、訴額60万以下の金銭支払請求事件については、簡易裁判所の通常手続と少額訴訟手続が競合する。この場合、原告はいずれかの手続を選択することができるので、少額訴訟による審理及び裁判を求める場合には、訴えの提起の際にしなければならないとしたのである。

●少額訴訟を通常の手続に移行させる旨の陳述をするには、相手方の同意を要しない。

<解説>

 少額訴訟の対象となる事件について、少額訴訟を選択するか否かは、まず原告が訴え提起の際に、少額訴訟手続を選択する旨を申述することが認められている。
 これに対して、被告は、原告が少額訴訟手続を選択した事件について、簡易裁判所における通常訴訟手続に移行させる旨の申述をすることができる。これは、原告に少額訴訟の選択権を認めたことから、被告にも通常訴訟への移行申述権を与えることが公平であるからである。その際、相手方の同意を得ることは要しない。

<少額訴訟の審理手続の特則>

 少額訴訟においては、原則として、最初にすべき口頭弁論の期日において、審理を完了しなければならない。そして、判決の言渡しは、相当でないと認める場合を除き、口頭弁論の終結後直ちにする。
 少額訴訟における証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる。また、少額訴訟における証人尋問の際には、宣誓させないで尋問することもでき、証人又は当事者本人尋問の順序についても、裁判官が相当と認める順序で行うこととされている。そして、少額訴訟においては、反訴を提起することができない。
 以上のように、少額訴訟においては、通常の訴訟手続とは異なる審理手続についての規定が設けられている。これはいずれも、少額訴訟には簡易・迅速な事件処理が強く求められていることから規定されたものである。

●少額訴訟においては、即時に取り調べることができる証拠に限り、証拠調べをすることができる。

<解説>

 少額訴訟においては、証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる。少額訴訟においては、簡易・迅速な事件処理が強く要求されているからである。これは、少額訴訟においては、原則として、最初にすべき口頭弁論の期日において審理を完了しなければならないという、1期日審理の原則を確保するための規定ともいえる。

<少額訴訟の判決の言渡し及び異議>

 判決の言渡しは、原則として、口頭弁論終結後直ちに行う。そして、判決の言渡しは、判決書の原本に基づかないですることができる。簡易・迅速な紛争解決が要求される少額訴訟においては、事前に作成した判決書に基づいて言渡しをすることは、簡易・迅速性を損なうことになるからである。
 また、裁判所は、金銭支払い請求を認容する判決をする場合、被告の資力等の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、分割払いの定めをすることができる。

 少額訴訟では、控訴をすることはできない。しかし、判決書又は調書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に、判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。この異議により、訴訟は通常手続で審理・裁判される。この異議審には、手形判決の規定が準用される。

●少額訴訟においては、判決書の原本に基づかないで判決の言渡しをすることができる。

<解説>

 少額訴訟においては、判決の言渡しは、相当でないと認める場合を除き、口頭弁論の終結後直ちに行うが、この場合、判決の言渡しは、判決書の原本に基づかないですることができる。通常訴訟では、口頭弁論終結後、改めて判決の言渡し期日を定めて、判決原本に基づいて判決の言渡しがなされる。しかし、簡易・迅速な紛争解決が要求される少額訴訟においては、事前に作成した判決書に基づいて言渡しをすることは、簡易・迅速性を損なうことになるからである。

●少額訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。

<解説>

 少額訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。少額訴訟においては、簡易・迅速な紛争解決ということが強く求められており、通常の手続と同じく上級審への不服申立てを認めると、紛争解決までに時間も費用もかかり、少額訴訟手続を設けた趣旨が失われてしまうからである。

●少額訴訟の終局判決に対する異議の取下げをするには、相手方の同意を要する。

<解説>

 少額訴訟の終局判決に対しては、控訴はできないが、異議を申し立てることができる。
 かかる異議は、通常の手続による第1審の終局判決があるまで取下げることができる。そして、異議の取下げには、相手方の同意を要する。

つづく・・・
ラベル:民事訴訟法
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 11:08| Comment(0) | 民事訴訟法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
トップページへ
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。