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2012年03月08日

独学院 偽証の罪から

参りましょう。

<偽証の罪>

 偽証の罪は、法律により宣誓した証人・鑑定人・通訳人・翻訳人が偽証の陳述・鑑定・通訳・翻訳を行う犯罪である。

 保護法益は、国家の審判権あるいは審判作用の安全である。すなわち、証人等が、虚偽の証言等を行うことは、審判機関の正当な判断を誤らせ、審判権の適正な行使を妨げるおそれがあるが、それを防止することを目的とする。

 偽証の罪には、偽証罪[169条]、虚偽鑑定・通訳・翻訳罪[171条]が含まれる。


<偽証罪>

 法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは3月以上10年以下の懲役に処せられる[169条]。

 偽証罪の主体は、法律により宣誓した証人であり、本罪は真正身分犯である。
 行為は虚偽の陳述であるが、その虚偽の意味については争いがあり、客観説と主観説が主張されている。

 客観説は、虚偽とは証人の陳述の内容をなす事実が客観的真実に反することであるとする見解である。仮に証人が偽証の意思で陳述しても、それが真実に合致している限り、国家の審判権あるいは審判作用が害させるおそれはないことを理由とする。

 これに対し主観説は、虚偽とは証人の陳述の内容をなす事実が証人の記憶に反することであるとする見解である。証人が自己の経験した内容を正確に再現することが、国家の審判権あるいは審判作用の適正な行使にとって重要であるということを理由とする。

 判例は、主観説の立場に立つ。すなわち、事実を見聞していない証人が、現にこれを見聞したと称して虚偽の陳述をなす時は、偽証罪は完全に成立するのであって、証人が現に見聞したと偽って供述した事実が実際の事実に符合するかどうかは、偽証罪の成立に何ら影響を及ぼさない、とした。

 偽証罪の虚偽の陳述における「虚偽」についての客観説と主観説との差異は、記憶には反するが真実であると信じて証言したところ、実際には真実ではなかった場合にあらわれる。
 すなわち、この場合、客観説では、偽証罪の故意の内容は自己の陳述の内容が客観的真実に反することの認識ということになるが、そうすると真実だと信じて証言した場合には、偽証罪の故意を欠くことになって、自己の記憶に反することを知りながら客観的に虚偽の事実を陳述したのにもかかわらず、結論として不可罰とせざるをえないことになってしまう。これに対し、主観説では、上記の場合でも記憶に反する陳述である以上、虚偽の陳述にあたり、偽証罪が成立する。

<偽証罪の罪質>

 偽証罪は、抽象的危険犯である。したがって、現実に国家の審判作用が害されたことは必要でない。また、虚偽の陳述が審判作用を害する恐れが全くない場合であっても、偽証罪の成立を認めるのが判例である。すなわち、虚偽の陳述をすれば直ちに偽証罪が成立することを認め、その陳述が当該事件の裁判の結果に影響するかどうかは問わない、とした。ただし、この考え方は少数説であり、通説は、抽象的危険さえない場合には、偽証罪は成立しないとする。

<刑事被告人による偽証の教唆>

 刑事被告人は、自己の刑事被告事件について、偽証罪の正犯たりえないが、正犯たりえない者が他人を教唆して虚偽の陳述をさせた場合にも、偽証教唆罪を構成するかどうかが争われており、肯定説と否定説とが主張されている。

 肯定説は、他人を犯罪に陥れることについても期待可能性を欠くとはいえないし、弁護権の範囲を超えている、ということを理由とする。

 これに対し否定説は、教唆犯は法益を間接的に侵害するものであるから、その犯罪性が正犯より重いということはないにもかかわらず、正犯として処罰されないのに教唆犯としてなら処罰されるのは不都合であるということを理由とする。

 判例は、他人に虚偽の陳述をするよう教唆したときは、偽証教唆の責を免れない、として、肯定説によることを明らかにした。

<自白による刑の減免>

 偽証罪[169条]を犯した者が、その証言をした事件について、その裁判が確定する前又は懲戒処分が行われる前に自白したときは、その刑が減軽され、又は免除させることがある[170条]。刑の減軽又は免除をするかどうかは裁判所の裁量による。

 これは、証人が虚偽の陳述をした場合であっても、裁判確定前又は懲戒処分前に自白すれば、刑の減軽又は免除を認めることとして、誤った裁判又は懲戒処分を未然に防止することを目的とする政策的な規定である。

<虚偽申告の罪>

 人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、3月以上10年以下の懲役に処せられる[172条]。

 虚偽告訴罪が、第1次的には国家的法益を侵害する犯罪であって、国家の審判作用を害する罪であることに争いはないが、第2次的に個人的法益に対する犯罪としての性質も有するかについては争いがある。虚偽告訴により、捜査機関又は懲戒権者が捜査又は懲戒のための調査を行えば、虚偽告訴された者は、その私生活の平穏が害されるおそれがあるからである。
 判例・通説は、このような事情も重視して、虚偽告訴の罪の保護法益は国家的法益だけでなく、第2次的に個人的法益をも含むとしている。

 虚偽告訴罪の行為は、虚偽の告訴、告発その他の申告をすることである。虚偽の申告とは、申告の内容をなすところの刑事、懲戒の処分の原因となる事実が客観的真実に反することをいう、と解されている。客観的事実と合致している事実を申告する場合には、国家の捜査権ないし懲戒のための調査権の行使が不当に害されることはないからである。偽証罪における虚偽の概念とは異なる。したがって、行為者が、客観的に真実である事実を虚偽であると誤信して申告しても、虚偽告訴罪は成立しない。

 なお、虚偽申告罪を犯した者が、その申告をした事件について、その裁判が確定する前又は懲戒処分が行われる前に自白したときは、偽証罪の場合[170条]と同様に、その刑が減軽され、又は免除されることがある[173条]。

つづく・・・
タグ:刑法各論
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 15:56| Comment(0) | 刑法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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