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2012年03月06日

独学院 国家の作用に対する罪から

参りましょう。

<国家の作用に対する罪>

 刑法は、国家の立法、行政、司法の各作用が、円滑・公正に行われるようにするため、国家の作用に対する罪を規定している。
 なお、これらの中には国家自体の作用を害するものの他、地方公共団体等の作用を害するものも含まれている。すなわち、逃走の罪、犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪・偽証の罪がもっぱら国家自体の作用を害する犯罪類型であるのに対し、公務の執行を妨害する罪、汚職の罪、虚偽告訴の罪は、地方公共団体の作用をも害する犯罪類型である。

<公務の執行を妨害する罪>

 公務の執行を妨害する罪の保護法益は、公務の執行、すなわち国又は地方公共団体の作用である。公務員は、保護の客体ではなく、行為の客体にすぎない。

 公務の執行を妨害する罪には、公務執行妨害罪[95条1項]、職務強要罪[95条2項]、封印等破棄罪[96条]、強制執行妨害罪[96条の2]、競売等妨害罪[96条の3第1項]、談合罪[96条の3第2項]の類型がある。

<公務執行妨害罪>

 公務員が職務を執行するにあたり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万以下の罰金に処せられる[95条1項]。

 公務執行妨害罪の主体となり得る者については、制限されていない。公務員の職務執行の客体である者でなくても、主体となり得る。そのような者でない第3者でも保護法益である公務の執行を妨害することができるからである。たとえば、友人が警察官に逮捕されるところに居合わせた者が、その警察官に暴行を加えて友人の逮捕を妨害するような場合である。
 公務員であっても、主体となり得る。

<公務執行妨害罪の客体>

 公務執行妨害罪の保護法益は、公務の執行であるが、行為の客体は公務員である。ただし、公務執行妨害罪は、わが国の公務の執行を保護法益とするものであるから、外国の公務員は、行為の客体にはならない。

 公務員には、特別法上、公務員とみなされる者を含む。たとえば、日本銀行の職員[銀行法19条1項]等は、公務に従事する職員に準ずる性格を有するので、公務員とみなされ、その職務について、公務員と同様の保護が与えられるのである。

<公務執行妨害罪の行為>

 公務執行妨害罪における行為は、公務員が職務を執行するにあたり、これに対して暴行又は脅迫を加えることである。
 職務については、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてを含むとするのが判例・通説である。したがって、たとえば、国立大学における事務や講義等に関してなされた暴行又は脅迫についても公務執行妨害罪が成立する。

<職務の適法性>

 職務の執行は、適法になされることを要する。刑法上、そのことは規定されていないが、違法な公務員の行為まで保護する必要は無いとして、職務の適法性を要件に加えるのが判例・通説である。

 職務が適法であるという為には、一般に、@行為が、当該公務員の抽象的職務権限[一般的職務権限]に属すること、A当該公務員がその職務を行う具体的職務権限を有すること、Bその行為が、公務員の職務行為の有効要件である法律上の重要な条件・方式を履践していること、という要件が必要であるとされている。

 @については、公務員は、通常、その職務の範囲が法令上限定されており、その範囲を逸脱してなされた行為はもはや公務の執行とはいえないことから必要とされる。たとえば、巡査が行う租税の徴収は適法な職務とはならない。

 Aについては、当該公務員に抽象的職務権限があるだけでは、なお公務員の具体的な職務執行と言えない場合が多いことから必要とされる。たとえば、執行官が適法に民事執行を行うことができるのは、自己に委託された事件に限るとされている。

 Bについては、公務員の職務行為には、その有効要件として、法律上、一定の条件・方式が要求されることが多く、それらの重要な部分を欠く職務は保護に値しない、ということから要求される。

<職務の適法性の判断基準>

 職務の適法性が構成要件要素であるとして、適法性はどのように判断するのか、その判断基準が問題となる。
 この点については、当該公務員が適法と信じたかどうかで決定したり[主観説]、一般人の見解を基準として決定する[折衷説]のではなく、裁判所が客観的に法令を解釈して客観的に決定すべきであり[客観説]、また、事後的に純客観的な立場から判断されるべきではなく、行為当時の状況に基づいて客観的、合理的に判断されるべきであるとする、とするのが判例の立場である。


<職務を執行するに当たりの意義>

 職務を執行するに当たりとは、職務を遂行するに際して、の意味であるとされている。すなわち、職務の執行を開始しようとした時から、職務の執行を終えた時点までの時間的範囲を指す。職務の執行中はもちろん、職務の執行に着手しようとしている場合も含まれるが、職の執行後は含まれない。

 具体的には、休憩中や一時的に雑談をしている場合、職務を執行するために待機中の場合等が問題となる。
 この点、判例は、95条1項の趣旨は、公務員によって行われる公務の公共性にかんがみ、その適正な執行を保護しようとするものであるから、その保護の対象となるべき職務の執行というのは、漫然と抽象的・包括的に捉えられるべきものではなく、具体的・個別的に特定させていることを要するものと解すべきとしている。

 そして、同条同項に「職務を執行するに当たり」と限定的に規定されている点からして、ただ漫然と公務員の勤務時間中の行為は、すべて職務執行に該当し保護の対象となるものと解すべきではなく、具体的・個別的に特定された職務の執行を開始してからこれを終了するまでの時間的範囲、及びまさに当該職務の執行を開始しようとしている場合のように当該職務の執行と時間的に接着しこれを切り離し得ない一体的関係にあるとみることができる範囲内の職務行為にかぎって、公務執行妨害罪による保護の対象となるものと解するのが相当であるとする。

 もっとも職務の性質によっては、その内容、職務執行の過程を個別的に分類して部分的にそれぞれの開始、終了を論ずることが不自然かつ不可能であって、ある程度継続した一連の職務として把握することが相当と考えられるものもあるが、そのような職務については、ある程度継続した一連の職務として把握するとしても当該職務行為の具体性・個別性を失うものではない、とした。※

※ 日本電信電話公社[現NTT]の電報局長の、局の事務全般を掌握し部下職員を指揮監督する職務及び同電報局次長の、局長を助け局務を整理する職務。

≪暴行・脅迫>

 公務執行妨害罪においては、暴行・脅迫によって職務の執行を妨害する必要があり、暴行・脅迫以外の方法、たとえば偽計により職務を妨害する行為は、公務執行妨害罪を構成しない。

 公務執行妨害罪における暴行又は脅迫は、それぞれ広義の暴行・脅迫である。

 公務執行妨害罪における暴行は、不法な有形力ないし物理力の行使が公務員の身体に対してなされる必要は無く、公務員に向けられていれば足りる。すなわち、公務員の職務の執行に当たりその執行を妨害するに足りる暴行を加えるものである以上、それが直接公務員の身体に対するものであると否とは問われない。
 したがって公務員の指揮の下に、その手足となって、職務の執行に密接不可分の関係にある補助者に加えられる場合や、物に対して加えられた有形力が公務員の身体に物理的に強い影響を与え得る場合[間接暴行]でもよいとされる。

 たとえば、執行官がその職務をなすに当たり、公務員でないがその補助者として、当該執行官の命により、その指示に従って被告人方の家財道具を屋外に搬出中の者に対し暴行・脅迫を加えた場合、公務員である執行官に対して直接なされたのではないとしても、当該執行官の職務の執行を妨害する暴行・脅迫に該当するとされ、また税務署員が差押えた密造酒入りの瓶を鉈で粉砕し内容物を流失させる行為や公務員が密造タバコを押収しトラックに積み込んでいた際に、トラックに乗り込んでタバコを街路上に投げ捨てた行為も、公務員に対して加えられた暴行と解すべきものとされた。

 公務執行妨害罪における脅迫は、恐怖心を起こさせる目的で他人に害悪を告知することの一切を含む。必ずしも、直接に公務員に対してなされる必要は無く、第三者に対する脅迫でも、公務員の職務の執行を妨害しうるものであれば足りる。

■ 覚せい剤取締法違反の現行犯人を逮捕した現場で、警察官が証拠物として適法に差し押さえ、整理中の覚せい剤注射液入アンプルを警察官の面前で踏みつけて損壊すれば、公務執行妨害罪が成立する。

<解説>

 公務執行妨害罪における暴行は、不法な有形力ないし物理力の行使が公務員の身体に対してなされる必要は無く、公務員に向けられていれば足りる[広義の暴行概念]。公務員の職務の執行に当たり、その執行を妨害するに足りる暴行を加えるものである以上、それが直接公務員の身体に対するものであると否とは問われないのである。
 設問における行為、すなわち警察官が証拠物をして適法に差し押さえ、整理中の覚せい剤注射液入アンプルを警察官の面前で踏みつけて損壊する行為は、直接、警察官に向けられていはいないが、公務員の職務の執行に当たり、その執行を妨害するに足りる暴行であるといえる。
 したがって、設問の暴行について公務執行妨害罪[95条1項]が成立する。 

<既遂時期>

 公務執行妨害罪は、暴行・脅迫が行われれば直ちに既遂に達する。現実に公務員の職務の執行が妨害されたことは要しない。暴行・脅迫は、公務員の職務の執行に当たりその執行を妨害するに足りるものでなけらばならないから、暴行・脅迫を加えること自体が、妨害と解されるのである。
 なお、この意味で、通説は本罪を抽象的危険犯であるとする。

<故意>

 公務執行妨害罪の故意の内容は、相手方が公務員であること、及びその公務員が職務を執行するに当たり、暴行・脅迫を加えることの認識である。

 公務の執行を妨害する目的は不要である。

<封印破棄罪>

 公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し、又はその他の方法で無効にした者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられる「96条」。

 封印等破棄罪は、公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し又はその他の方法で無効にすることを通じて、公務の執行を妨害する犯罪である。

 封印とは、物に対する任意の処分を禁止するために、開くことを禁止する意思を表示して、その外装に施された封緘[ふうかん]等の物的設備をいう。たとえば、執行官が債務者に差押物を保管させる場合の差押物について封印[民執法123条3項]がこれに当たる。
 封印等破棄罪における差押えとは、公務員がその職務上保全すべき物を自己の占有に移す処分をいい、その処分を明白にするのが差押えの表示である。すなわち、差押えの表示とは、貼札や立札等、差押えによって取得した公務員の占有を明らかにするために施された表示であって、封印以外のものをいう。

 損壊とは、物質的に毀損・破壊して、事実上の効力を減殺・滅却することをいう。
 その他の方法で無効にするとは、封印・差押えの表示自体を物質的に破壊することなく、その事実上の効力を減殺・滅却することをいう。

<強制執行妨害罪>

 強制執行を免れる目的で財産を隠匿し、損壊し、若しくは仮装譲渡し、又は仮想の債務を負担した者は、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる[96条の2]。

 強制執行妨害罪の保護法益については争いがあるが、判例は、強制執行は、債権の実行のための手段であって、96条の2は究極するところ債権者保護をその主眼とする規定であるとし、もっぱら債権者の債権の実現という利益を保護するものであるとの見解をとっている。

 強制執行妨害罪は目的犯であり、強制執行を免れる目的を必要とするが、現実に強制執行を免れたことは必要ではなく、現実に強制執行の全部又は一部が実行されたことも必要でない。

 そして、強制執行とは、民事執行法による強制執行又はこれを準用する強制執行をいう。国税徴収法に基づく滞納処分については、差押えその他の執行手続に関し、同法に詳細に規定されていて、民事執行法の強制執行に関する規定を準用するものではないことから、ここでいう強制執行には含まれない。

<競売等妨害罪>

 偽計または威力を用いて、公の競売又は入札の公正を害すべき行為をした者は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処せられる[96条の3第1項]。
 公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した者も、同様とされる[同条第2項]。
 96条の3の保護法益は、公の競売又は入札の公正であるが、公の競売又は入札への干渉の態様により、競売入札妨害罪[1項]、談合罪[2項]が規定されている。

 競売入札妨害罪における公正を害すべき行為とは、公の競売又は入札に不当な影響を及ぼすような行為をいう。談合行為も本来含まれるはずであるが、談合罪がある関係で競売入札妨害罪では処罰されない。
 偽計又は威力を用いて公の競売又は入札の公正を害すべき行為があれば、現実に公の競売又は入札の公正が害されなくても、直ちに既遂に達する。

 談合罪における談合とは、公の競売又は入札において、公正なる価格を害し又は不正な利益を得る目的で、競争者が互いに通謀してある特定の者をして、契約者たらしめるため他の者は一定の価格以下又は以上に入札しないことを協定することをいう。それ以上その協定に従って行動されたことを必要としない。

 談合罪の主体について、判例は、多くの場合、競買等の希望者であろうが、これに限られる必要は無く、自らはその希望を持たない者であっても、自己と特別な関係にある競買等の希望者があって、これに影響を及ぼすことのできる地位にあるものであれば足りるものと解するのが相当である、としている。

つづく・・・
タグ:刑法各論
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 12:06| Comment(0) | 刑法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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