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2012年02月27日

独学院 毀棄・隠匿の罪から

参りましょう。

<毀棄・隠匿の罪>

 毀棄・隠匿の罪は、公用文書等毀棄罪[258条]、私用文書等毀棄罪[259条]、建造物等損壊罪及び同致死傷罪[260条]、器物損壊等の罪[261条]、境界損壊罪[262条の2]、信書隠匿罪[263条]から成る。

 これらは、いずれも、「他人の財物の効用を害しその利用を妨げる罪」である。他人の財物を不法に領得する「領得罪」と異なり、単に利用を妨害するにとどまるため、刑が軽いと解されている。
 私用文書等毀棄罪[259条]、器物損壊等の罪[261条]、信書隠匿罪[263条]は、親告罪である[264条]。

<公用文書等毀棄罪>

 公務の用に供する文書または電磁的記録を毀棄した者は、3月以上7年以下の懲役に処せられる[258条]。

[1]客体
 「公務所の用に供する文書」とは、公務所において現に使用され、又は使用の目的で保管される文書をいう。
 「私文書であっても、警察が証拠物として保管中のもの」であれば、公務所が使用するための文書として、公用文書とされる。
 「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式等、人の知覚によって認識できない方式により作成された記録であって、電子計算機による情報処理の用に供せられるものをいう[7条の2]。例えば、不動産登記ファイル、住民登録ファイルがこれにあたる。

[2]行為
 「毀棄」とは、文書または電磁的記録の効用を害する一切の行為をいう。破り捨てる、印紙を剥離する等も毀棄罪である。

<出題例>

 市役所の課税台帳を閲覧中、その中の1枚を抜き取り、閲覧室内のくずかごに丸めて投げ捨てた。→公用文書等毀棄罪が成立する。公用文書を丸めて捨てることは、文書の効用を害する行為にあたるので、「毀棄」にあたる。

<私用文書等毀棄罪>

 権利又は義務に関する他人の文書または電磁的記録を毀棄した者は、5年以下の懲役に処せられる[259条]。
 「権利又は義務に関する」文書とは、権利・義務の存否・得喪・変更等を証明するための文書である。
 「他人の」文書とは、「他人名義の文書」という意味ではなく、「他人が所有する文書」という意味である。

<出題例>
 友人を訪れた際、同人に差し入れた自己名義の借用証書をほしいままに破り捨てた。→私用文書等毀棄罪が成立する。「自己名義」の文書ではあるが、「他人所有の文書」だから。

<建造物等損壊罪・同致死傷罪>

 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処せられる。よって人を死傷させた者は傷害の罪と比較して重い刑により処断される[260条]。

[1]「建造物」とは、屋根を有し障壁又は柱材により支えられている状態のもので、土地に定着し、人がその内部に出入りできるものをいう。

<出題例>
 他人の家の竹垣を切り倒した。→「建造物等損壊罪」は成立しない。竹垣は「建造物」にあたらない。本問の行為は「建造物等損壊罪」ではなく「器物損壊罪」にあたる。

[2]「他人の」とは、「他人の所有する」という意味である。

[3]「損壊」とは、物理的に損壊すること、又は「その他の方法」によって、それらの使用価値を滅却若しくは減損することをいう。

★物理的損壊「以外」の方法による場合でも、「損壊」にあたり得る。

 判例は、労働争議において、建造物の壁、窓ガラス、扉等に数千枚のビラを糊付けし、その建造物の効用を害した行為について、建造物等損壊罪が成立するとした。

<器物損壊罪・動物傷害罪>

 公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊罪及び同致死傷罪に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処せられる[261条]。

[1]本罪の客体は、「『公用文書・私用文書[電磁的記録を含む]、建造物、艦船』以外の物」である。公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪の客体にあたらない電磁的記録も含まれる。
「物」とは、財物のことである。「動物」も含まれる。

[3]「損壊」とは、物の本来の効用を失わせることをいう。物理的に毀損する行為に限られない。

★「物を物理的に壊す方法『以外』の方法」でも、「損壊」にあたりうる。

≪判例上、「損壊」にあたるとされたもの≫
・学校の校庭に杭を打ち込むなどして、保健体育の授業に支障を生じさせる行為
・街頭に設置された政党の候補者ポスターに「殺人者」と書かれたシールを貼り付ける行為
・飲食用のすき焼き鍋及びトックリに放尿する行為

「傷害」とは、動物を毀棄することをいう。「物理的に殺傷すること」だけでなく、[飼主にとっての]「動物としての効用を害する行為」を含む。
 例えば、動物をオリやカゴから「逃がす」行為も「傷害」にあたりうる[養魚池の鯉を逃がす行為について、大判M44.2.27]。

<自己の物の損壊等>

 自己のものであっても、差押を受け、物権を負担し、又は賃貸したものを損壊し、又は傷害したときは、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊及び同致死傷罪、器物損壊罪等の例によって処罰される[262条]。
 本条は、差押債権者等の財産的利益をも併せて保護する趣旨である。

<境界損壊罪>

 境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる[262条の2]。

[1]趣旨
 本罪の趣旨は、土地の権利関係の確定に重要な意義を有する「境界の明確性」を保護することである。

[2]客体
 「境界標」とは、土地の境界を示す標識をいう。立木等の自然物でもよい。他人の物でも、自己の物でもよい。

[3]行為
 「損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにすること」

 本罪が成立するには、境界を認識することができなくなるという「結果の発生」が必要である。この結果が生じないときは、器物損壊罪[261条]が成立する。

<出題例>

 自己の所有地とこれに隣接する他人の所有地との境界に、自らの費用で埋設しておいた境界標を引き抜いて、境界を不明にした。→境界損壊罪が成立する。

つづく・・・
タグ:刑法各論
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 11:44| Comment(0) | 刑法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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