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2012年02月26日

独学院 接盗品等に関する罪から

参りましょう。

<盗品に関する罪>

 盗品その他財産に対する罪にあたる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処せられる[256条1項]。
 上記の物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処せられる[同条2項]。

≪盗品に関する罪の本質について≫

 盗品等に関する罪は、犯罪の被害者による被害物の追求回復を困難にする行為を罰するものである。すなわち、被害者の追求権を保護することを、その本質とする[追求権説]。
 もっとも、盗品等に関する罪は、本罪の犯罪を助成し誘発させたり、その分配にあずかるという意味で、「事後従犯的性格」を併せ持っていると解されている。

<盗品関与罪の主体>

 「本犯の正犯者[共同正犯者を含む。]」がみずから盗品等を処分するなどしても、不可罰的事後行為として罰せられなり。
 これは、本犯[窃盗罪]によって、盗品等の処分についても違法評価し尽くされており、新たな法益侵害がないと考えれられるからである。

<出題例>

 他人から宝石を預かっている者と共謀して当該宝石を処分することとし、自己において買受けた場合→盗品等に関する罪は成立しない。本犯の正犯者[共同正犯者を含む。]がみずから盗品等を処分するなどしても、不可罰的事後行為として罰せられない。

★これに対し、「本犯の教唆犯や幇助犯」が、窃盗犯人から盗品等を譲り受ける等の行為をすると、窃盗罪の教唆犯・幇助犯のほかに、盗品等に関する罪も成立する。
 窃盗教唆罪・幇助罪によって、その後の盗品等の処分まで違法評価し尽くされているとは言い難いからである。そして、教唆犯又は幇助犯と盗品等に関する罪とは併合罪[45条]。

 他人に窃盗を教唆し、その結果窃盗を実行した者から窃取した財物を買受けた場合→窃盗教唆罪と盗品等有譲受罪が成立し、両罪は併合罪[45条]となる。

<窃盗品等に関する罪の客体>

 盗品等に関する罪の客体は、「盗品その他財産に対する罪にあたる行為によって領得された物」であり、被害者が法律上追求することのできる物でなければならない[追求権説による説明]。

<客体〜財産犯によって領得された財物でなければならない>

 本罪の客体は、「財産に対する罪」、つまり窃盗罪、強盗罪、詐欺罪、恐喝罪又は横領罪によって領得された財物である。
 したがって、財産罪「以外」の犯罪の客体である偽造文書、偽造貨幣、賄賂、密輸品、賭博によって得た金銭、偽証の謝礼等は、盗品等に関する罪の客体とはなりえない。[超重要]

<客体〜本犯との関係>
「a」 本犯の行為は「構成要件該当性」「違法性」の要件を充たしていればよい。「有責性」の要件を欠く場合、刑が免除される場合、控訴事項が完成して起訴されない場合でもよい。条文上、「財産犯に『当たる』行為」とあるのは、その趣旨である。
 例えば、14歳未満の刑事未成年者[責任無能力者]によって盗まれた自動車も、「盗品」にあたる。

<出題例>

 親父から盗んできた物であることを知って、これを質受した場合→盗品保管罪[256条2項]が成立する。この場合、被害者が本犯者の直系尊属であるから、本犯者は「刑を免除」される[244条1項]。この刑法244条は「一身的処罰阻却事由」であって、本犯の行為は「構成要件該当性・違法性」に欠けるわけではない。

[b] 本犯は「既遂」に達していなければならない。例えば、窃盗を決意した者に依頼されて、その者が将来摂取すべき財物の売却をあっせんするしても、盗品有償譲受罪は成立しない。

<出題例>

 友人から窃盗の意思を打ち明けられ、盗品の買い取りを約束した場合→盗品等に関する罪は成立しない。本犯である財産犯が「既遂」に達していないからである。

<客体〜被害者が法律上追求することのできる物でなければならない>

 本罪の本質は「被害者の追求権を侵害すること」にあると解されている。よって、被害者が盗品等に対する法理上の追求権を失ったときには、本罪は成立しない。
 例えば、本犯の被害物が即時取得、添付などの対象となったときには、その物について盗品等に関する罪は成立しなくなる。

[a] 即時取得との関係

・「盗品や遺失物」については、第三者がその物を即時取得[民192条]した場合でも、盗難
・遺失の時から2年間は被害者がその物の回復を請求できるので[民193条]、被害者がこのような追求権を行使できる間は、本罪の客体となるとされる。

・「横領罪の被害品」については、第三者が即時取得した場合、2年間の回復請求の定め[民192条]は適用されない。即時取得によって被害者は追求権を失い、本罪の客体にはならない。

<出題例>

 横領罪の被害者が第三者により即時取得された場合には、これにより被害者の当該被害物に対する追求権は失われるから、以後、盗品等に関する罪は成立しない。→「横領罪の被害物」だから、民法193条の回復請求を問題にする必要はない。

[b] 被害者が取消権を行使する以前であっても、盗品等にあたる。

 本犯の行為が詐欺・恐喝の場合には、その盗品等の所有権は一応犯人に移転し、「取り消すことができる」にすぎない[民96条1項]。被害者が取消権を行使する以前には、その財物は「盗品等」にあたらないとも思える。
 しかし、被害者が取消しの意思表示をする以前にも、「取消権を行使した場合には、原状回復請求権を行使することができるという可能性」があり、その「可能性」を含む意味での法律上の追求権が認められることから、その物は盗品等に「あたる」と解されている。

<出題例>

 「本犯が詐欺罪の場合、欺罔による財産移転の意思表示を取り消す前には、被害者は、当該財産に対する追求権を有しないから、盗品等に関する罪は、成立しない。」というわけではない。→取消前であっても、回復を請求する「可能性」はあり、その可能性を含む意味での追求権は認められるから。

<盗品等の同一性>

 盗品等に関する罪の客体である「盗品等」は、被害者の追求権の及ぶものでなければならない。「盗んだ自動車を換金して得た金銭」などのように、「盗品等がその同一性を失った場合」には、被害者の追求権が及ばなくなるから、盗品等に関する罪は成立しない。

 しかし、「金銭などのように代替性を有するもの」については、それ自体が所有権の対象となるのではなく、金額又は一定の数量として所有権の対象となると解されており、例えば、盗品である金銭を両替して他の金銭に換えても、盗品性は失われないと解されている。

≪盗品等との同一性が失われる場合≫
・盗んだ金銭→カレーライスを御馳走
・盗品→金銭に換金
≪盗品等との同一性が失われない場合≫
・横領した紙幣→両替して得た金銭
・詐取した小切手→現金化して得た金銭

<出題例>

 本犯の被害物が同一性を失った場合には、被害者の当該被害物に対する追求権は失われるから、本犯の被害物の売却代金である金銭の贈与を受けても、盗品等に関する罪は、成立しない。→本犯の被害物の売却代金である金銭は、もはや本犯の被害物との同一性を失っているから、「盗品等」にはあたらない。

 「本犯の被害者が同一性を失った場合には、被害者の当該被害物に対する追求権は失われるから、本犯の被害物である紙幣を両替していた金銭の贈与を受けても、盗品等に関する罪は、成立しない。」というわけではない。→金銭を両替して得た金銭は、「盗品等」にあたる。

※ポイント
 「物→¥金銭」では盗品性「なし」、「¥金銭→¥金銭」、「小切手→¥金銭」では盗品性「あり」

<盗品等に関する罪の行為>
[1]「無償で譲り受け」るとは、代価を支払わないで取得することをいう。「単なる約束」では足りず、「盗品等の引渡し」が必要である。

[2]「運搬」とは、委託により盗品等の所在を移転することをいう。

★判例は、窃盗の被害者に警察への通報を断念させた上で、金銭を出させて盗品を被害者宅まで運搬した事案において、盗品の運搬は窃盗犯人の利益のためにその領得を継受したものであるとして、盗品等運搬罪の成立を認めた。

 追求権説に従えば、被害物を本犯の被害者宅に運搬している以上、被疑者の追求回復を困難にするものではなく盗品等に関する罪は成立しないとも思える。
 しかし、盗品が被害者宅に戻っても、その返還が犯人の利益のためになされた時には、「正常な回復ではない」から、盗品等に関する罪が成立すると解されている。

[3]「保管」とは、委託を受けて盗品等を保管することをいう。有償・無償を問わない。当初は盗品等であることを知らなかったものの、後に盗品等であることに気づいて保管を続けた場合には、それ以後について盗品等保管罪が成立する。

[4]「有償で譲り受け」るとは、代価を提供して取得することをいう。有償取得の契約を締結するだけでは足りず、「盗品等の引渡し」が必要である。

★盗品と知りつつ買受けた場合であっても、被害者に返還する目的で買い取った場合には、本罪は成立しない。

<出題例>

 被害者に返還する目的で、盗品と知りながこれを買い取った場合、盗品等に関する罪が「成立しない」。

[5]「有償の処分のあっせん」とは、盗品等について売買、交換、質入等、有償的処分をあっせんすることをいう。処分については有償であることを要するが、あっせん行為自体は有償でなくてもよい。
 あっせんをした事実があれば、あっせんにより売買等の契約が完成しなくても、盗品等有償処分あっせん罪は成立する。

※判例は、「本犯の被害者」を相手方として本犯の被害物の有償処分のあっせんをする場合であっても、「被害者による盗品等の正常な回復を困難にするばかりでなく、窃盗等の犯罪を助長し誘発するおそれのある行為であるから、刑法256条2項という盗品等の「有償の処分のあっせん」に当たる」とした。

<親族間の犯罪に関する特例>

・「配偶者との間又は直系血族、同居の親族若しくはこれらの者の配偶者との間で前条の罪を犯した者は、その刑を免除する。[257条1項]
・「前項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。」[257条2項]

≪本条の趣旨≫

 配偶者や親族等が身内の財産犯人のために盗品等の処分を行うことは無理からぬ面があるので、期待可能性が減少することを考慮して、一身的に刑の免除を定めた者であると解されている[「一身的処罰阻却事由」という。]。

≪親族関係は、誰と誰との間にあればよいのか≫

 本特例は、一定の親族関係にある者は、本犯者を庇護したり、またその利益に関与することは無理からぬ面もあるとして定められたものであるから、そのような関係が認められる場合、すなわち、「盗品等罪の犯人」と「窃盗罪等の本犯者」との間に親族関係があった場合に適用されると解されている。
 典型的には、息子が盗みを働いてきた場合に、その息子をかばうために母親が盗品の処分をするといった場合である。

※これに対して、「盗品等罪の犯人」と「本犯の被害者」との間に親族関係があることを要すると解する見解もある。
 しかし、この見解は、「盗品等罪の犯人と被害者が親族関係にあることは偶然的である。」と批判される。

つづく・・・
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 19:29| Comment(0) | 刑法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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