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2012年02月25日

独学院 背任罪から

参りましょう。

<背任罪>

 他人のためにその事務を処理する者が、自己もしくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる[247条]。

 例えば、銀行の支店長が、回収の見込みがないまま無担保で勝手に多額の融資をした場合には、背任罪が成立する。本罪の本質は、このように他人のための事務処理者がその「本人との信任関係に違背して」他人の財物を害する点にある。

 信任関係に違背することを本質とする犯罪であるという点では、委託物横領罪[252条1項]と共通する。横領罪と背任罪をいかに区別するかについては、争いがある。

<背任罪の構成要件>

 背任罪が成立するためには、@「他人のためにその事務を処理する者」が、A「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で」、B「その任務に背く行為をし、」、C「本人に財産上の損害を加えた」ことが必要である。

@「他人のためにその事務を処理する者」・・・背任罪の主体
A「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で」これを「図利[とり]加害目的」という。
B「その任務に背く行為をし」・・・「任務違背行為」
C「本人に財産上の損害を加えた」こと

<背任罪の主体>

 背任罪の主体は、「他人のためにその事務を処理する者」である[身分犯]。

・犯罪行為が行う事務は、「他人の事務」であることを要し、「自己の事務」について背任罪が成立することはない。

≪他人の事務の例≫

・抵当権設定者が抵当権設定登記に協力すべき義務
・運送業者の運送物保管義務など。

<自己の事務の例>

・売買契約に基づく売主の目的物引渡義務、買主の代金支払義務→これらを履行しなくとも、債務不履行となるだけで背任罪は成立しない。

「事務を処理する者」というためには、行為者と本人との間に「信任関係」があることを要する。

<背任罪の行為>

 本罪の行為は、「任務に背く行為」をすることである。信任関係に違背する一切の行為をいう。

<背任罪の主観的要件>

 本罪の故意は、自己の行為が任務違背にあたること、本人に財産上の損害を与えることの表象・認容である。また、、故意のほかに「自己もしくは第三者の利益を図る目的」があることが必要である[目的犯]。一般に、これを「図利加害目的」という。
 たとえ任務違背があっても、もっぱら本人の利益を図るために行っていた場合には、背任罪は成立しない。

<財産上の損害>

・背任罪は「全体財産に対する罪」であると解されており、被害者の全体財産が減少しなければ背任罪は成立しない。
 よって、一方でマイナスがあっても、他方で対価が支払われる等のプラスがあり、全体としてマイナスにならない場合には、本罪は成立しない。

・背任罪の成立要件である「財産上の損害」の有無は、「法的に」ではなく「経済的に」判断される。
 例えば、取締役が金銭貸付けを行った場合、会社は一応貸付金債権をもつ。この場合、一応、「権利」は存在するのだから、「法的損害」は発生していないとみることもできる。しかし、それが回収困難な不良貸付であったときは、その貸金債権の経済的実価は低いので、「経済的損害」が生じたとみることができる。この場合、背任罪の成立要件である「財産上の損害」が発生したと認められる。

≪財産上の損害が発生したとみうる例≫

・回収困難な不良貸付
・違法・不当な貸付
・担保権の喪失など
・XがAのために抵当権を設定したが、その設定登記をする前に、Bのために抵当権を設定し先に登記を済ませてしまうこと[「ニ重抵当」という。]

<横領罪と背任罪の区別1>

 背任罪と横領罪は、いずれも信任関係の違背という点で共通する。
 ただ、横領罪の客体となるのは「自己の占有する他人の財物」に限られ、財産上の利益については、横領罪は成立し得ず、背任罪は成立しない。このことは当然である。

 これに対して、「他人のために事務を処理する者が、自己の占有する他人の財物を不法に処分した場合」、横領罪と背任罪の両方が成立するように思える。この場合に横領罪と背任罪のどちらが成立するのかという点が争われている。

 判例は、次のように分けている。

[1]行為者が本人の利益を図る目的であった場合→無罪
[2]行為者が自己又は第三者の利益を図る目的であった場合→本人名義か、行為者名義かで分ける。
・「自己又は第三者の利益を図る目的」で「自己名義」であった場合→横領罪
・「自己又は第三者の利益を図る目的」で「本人名義」であった場合のうち、
@本人の計算であった時→背任罪
A自己の計算であった時→横領罪

<例> Y銀行の銀行員Xが次のような行為を行った。
・「Y銀行の利益のために」Aに融資を行った。→無罪
・「自己の利益のために」、「X名義」で融資した。→横領罪
・「自己の利益のために」、「Y銀行名義」、「Y銀行の計算」で融資した。→背任罪
・「自己の利益のために」、「Y銀行名義」、「X自身の計算」で融資した。→横領罪

※「○○の計算で」とは、その行為による経済的効果が○○に帰属することを意味する。

<横領罪と背任罪の区別2>
<出題例>

 甲が、個人的な債務の弁済のため、自己が代表取締役をしている会社名義で債権者乙あての約束手形を振り出し、乙に交付した場合

 →横領罪は成立しない。「個人的債務の弁済のため」なので、「自己の利益のために」の場合である。「会社名義」の場合でもある。また、会社名義で約束手形を振り出しており[=会社が振出人]、会社が手形金支払債務を負うのであるから、「会社の計算」による場合でもある。

つづく・・・
タグ:刑法各論
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 11:52| Comment(0) | 刑法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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