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2012年02月19日

独学院 窃盗罪の行為から

参りましょう。

<窃盗罪の行為>

 窃盗罪の行為は、「窃取」である[235条]。
 「窃取」とは、他人の占有する財物を、その者の意思に反して、自己又は第三者の占有に移すことをいう。

 窃取については、その手段・方法を問わない。詐欺的方法がとられていも、詐欺罪を構成するのであれば、窃取にあたる[詳しくは「詐欺罪」にて後述]。

 ≪詐欺的手段が財産的処分行為に向けられたものではない→詐欺罪ではなく窃盗罪≫

・衣料品店の顧客を装い、上衣を試着したまま、便所に行くと偽って逃走する行為→詐欺罪ではなく窃盗罪

※ 詐欺罪は、「人を欺いて錯誤に陥らせ、錯誤に陥った被害者の処分行為にもとづいて、犯人が財物の占有を取得すること」が必要である。
「欺く行為→被害者が錯誤に陥ること→錯誤に陥った被害者が財産的処分行為をすること→犯人又は第三者が財物の占有を取得すること」という「因果関係」がなければならない。
 「欺く行為」は、被害者の財産的処分行為(例えば、財物の交付)に向けられたものでなければならず、その「欺く行為」によって被害者が錯誤に陥り、それにもとづいて財産的処分行為を行ったと認められる場合でなければならない。
 「便所に行く」と偽る行為によって、店員は錯誤に陥ったが、それによって「上衣の占有を犯人に移転する」という意思はない。店員としては、犯人は「便所に行くだけでまた戻って来る」と考えていたからである。

≪詐欺的手段が「人」に向けられたものではない→詐欺罪ではなく窃盗罪≫

 詐欺罪の実行行為である「欺く行為」は「人」に対するものでなければならず、「機械」に対する行為は、たとえ詐欺的な行為であっても、「欺く行為」とはならない。窃取行為あたる。

・パチンコ玉を磁石で誘導して穴に入れて当たり玉を出して取得する行為
・不正に取得したキャッシュカードを用いて銀行の現金自動支払機から現金を引き出す行為
・送金銀行の手違いで自己の口座に過剰入金されたことを奇貨として、自己のキャッシュカードを用いて銀行の現金支払機から現金を引き出す行為

<窃盗罪の着手時期>

 財物に対する他人の占有を侵害する行為ないしそれに密接に関連する行為を開始した時点。いつの時点で侵害行為が開始されたかは、行為の場所・状況や、財物の性質・形状などをもとに具体的に判断される。←刑法総論第2部 未遂犯で学習済み。

[1]住居侵入窃盗の場合

 判例は、他人の財物に対する事実上の支配を犯すについて密接な行為をした場合には、実行の着手が認められるとし、具体的には「金品物色のために箪笥に近づいた時点」に実行の着手が認められるとした。

[2]すりの場合

 「他人のズボンのポケットにある財布を狙って、そのポケットの外側に手を触れた時点」に、実行の着手が認められれる。

※ ただし、ポケット内に財布があるかないかを確かめる行為[いわゆる「あたり行為」であれば、実行の着手が認められないと解される。]。

<窃盗罪の既遂時期>

 通説・判例は、不法に領得する意思で、「他人の支配内にある物件を自己の支配内に移した時点」で既遂となると解している。つまり、「行為者が占有を取得した時点」である[「取得説」とよばれている。]。

 具体的には、@財物の大小、A搬出が容易なものか、B他の者の支配領域内であるのか等によって、判断される。

●店頭にある靴下をその場で懐中におさめた時は、その時に既遂に達する。

●棚や囲い等を設けて管理・警戒されている坑内から窃取する場合は、現実に警戒を突破して財物を構外に持ち出さなければ既遂にならない。

●倉庫から持ち出した財物をトラックの荷台の廃品の山をかきわけて積み込み、その上からさらに廃品をかぶせて隠匿したような場合は、そのときに窃盗罪は既遂となる。

<不可罰的事後行為>

 窃盗罪は、「状態犯」である。「状態犯」とは、一定の法益侵害が発生したことにより犯罪が終了するもので、犯罪によって発生した法益侵害状態が持続してもそれが犯罪とは見られないものをいう。

 例えば、窃盗犯人が指輪を盗むと、盗んだことにより犯罪は終了する。その後、窃盗犯人が指輪を捨てたり、壊したりしても、新たな犯罪は成立しない。それらの行為の違法性は、窃盗罪により評価し尽くされているからである。既遂に達した後は、違法状態が存続するが、それは犯罪事実ではない。したがって、窃盗罪が既遂に達した後、行為者が目的物を使用・処分しても、それが窃盗罪として包括的に評価されている限りにおいて、いわゆる「不可罰的事後行為」として扱われるにすぎない。

 もっとも、事後の処分行為が新たな法益の侵害を伴うために、窃盗罪としての評価を超えるような場合には、別の犯罪が成立する。

 例えば、預金通帳を窃取した後に、これを利用して現金の払い戻しを受ける場合には、預金通帳についての窃盗罪とは別に詐欺罪等が成立する。そして窃盗罪とは併合罪[45条]となると解されている。

<不動産侵奪罪1>

[1]終戦後、他人の不動産の不法占拠が横行した。そのような事態に対処すrため、昭和35年に本罪が設けられた。

[2]客体

 他人が占有する他人の不動産である。
 「不動産」とは、土地及びその定着物をいい[民法86条1項]、土地には、一定範囲で地上の空間及び地下を含む。不動産から分離して動産と化した物に対しては、本罪ではなく、窃盗罪が成立する。

<出題例>

 Aは、自己所有の家屋の2階部分を隣家の庭の上に張り出して増築した。判例の趣旨に照らすと、Aに不動産侵奪罪が成立する→増築により、隣家の「土地上の空間」を侵奪したと認められる。

<出題例>

 Aは、他人所有の畑に生育している作物を抜き取った上、その地表の肥土を持ち去った。→不動産侵奪罪ではなく窃盗罪が成立。不動産から分離して動産と化しているから。

[3]行為

 「侵奪」とは、不動産に対する他人の占有を排除して、その不動産に自己又は第三者の占有を設定することをいう。その態度を問わない。
 例えば、「他人の土地上に建物を建築する」、「他人の建物に住みつく」、「囲壁を設けて監視する」、「境界線を移動させて隣地を取り込む」などがある。

●窃盗罪と同様、不動産侵奪罪で問題となる「占有」とは、事実上の支配である。不動産の登記を自己名義に改変することは、「侵奪」にはあたらない。事実上の支配が移転していないからである。

●賃借人が不動産賃貸借契約終了後にそのままその不動産を占有し続けても、「侵奪」にはあたらない。「賃貸人の占有を排除して新たに占有を設定した」というわけではないからである。

<出題例>

 建物の賃借人であるAは、賃料不払いのため賃貸借契約を解除され、賃貸人から引渡請求を受けたにもかかわらず、その後も居住し続けた。判例の趣旨に照らすと、「Aに不動産侵奪罪が成立する」というわけではない。

●これに対し、従来の占有状態を質的に変化させ、新たに自己又は第三者のために占有を設定したと認められる場合には、「侵奪」にあたる。
 判例は、従来からの土地利用者がその利用権限を超えて、その土地上に大量の廃棄物を堆積させて、容易に原状回復することができないような状態にした行為について、不動産侵奪罪の成立を肯定した。

<親族間の犯罪に関する特例[親族想盗例]>

[1]趣旨

●「配偶者、直系血族又は同居の親族との間」で窃盗罪、不動産侵奪罪又はこれらの罪の未遂犯を犯した者は、その刑を免除される[244条1項]。

●「244条1項に規定する親族以外の親族との間」で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない[=「親告罪」という。]とされる[244条2項]。

●「前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。」[244条3項]

 これは、「法律は家庭に入らず」の考え方にもとづく規定であると解されている。親族間の財産秩序に関する問題は、親族間の処分に委ねたほうがよいと考え、国家による干渉を差し控えることにしたのである。

[2]法的性格

●本特例は、親族という身分のあることを基礎として、一身的に処罰だけを阻却したものと解されている[「一身的処罰阻却事由」という。]。→「構成要件該当性」「違法性」「有責性」の要件を充たし、犯罪は成立するが、ただ処罰だけが阻却される。

●同じ親族であっても、その親密さの度合いには様々ある。そこで、親密さの度合いに応じて、効果に違いが設けられている。

≪配偶者、直系血族又は同居の親族との間≫・・・刑の免除
≪244条1項の親族以外の親族との間≫・・・親告罪

[3]誰と誰との間に親族関係が必要か。
 
 例えば、AがB所有の財物を占有していた。Xがその財物を窃取したとする。この場合に、Xと誰の間に親族関係があれば、244条が適用されるのか。

 判例は、窃盗犯人が所有者以外の者の占有する財物を窃取した場合において、刑法244条1項が適用されるためには、同条1項の親族関係は、「窃盗犯人と財物の占有者との間」のみならず、「所有者との間にも」存することを要するとした。
 つまり、上記の例では、例えば、XとAB双方の間に親族関係がなければならないことになる。

<例> 父親がAが同居中の弟Bから借りている時計を、同居中のAの子Xが窃取した。→244条1項が適用される。

<死者の占有>

 死者には、占有の事実も、占有の意思も存在しないはずである。よって、出題例のように、被害者を殺害してから、その財物を奪取する意思を生じた場合、占有離脱物横領罪が成立する。

出題例

「長年恨んでいた知人を殺害するため、深夜、同人が一人暮らしをするアパートの一室に忍び込んで、寝ている同人の首を絞めて殺害し、死亡を確認した直後、枕元に同人の財布が置いてあるのが目に入り、急にこれを持ち去って逃走資金にしようと思い立ち、そのまま実行した場合、持主である知人は死亡していても、占有離脱物横領罪ではなく、窃盗罪が成立する」というわけではない。(H20-26)

 しかし、判例は、「当初から財物を領得する意思は有していなかったが、野外において、人を殺害した後、領得の意思を生じ、右犯行直後、その現場において、被害者が身につ行けていた時計を奪取した」という場合には、「被害者が生前有していた財物の所持はその死亡直後においてもなお継続して保護するのが法の目的にかなう」とい、「被害者からその財物の占有を離脱させた自己の行為を利用して右財物を奪取した一連の被告人の行為は、これを全体的に考察して、他人の財物に対する所持を侵害したものというべきである」として、窃盗罪が成立するとした。

■これに対し、殺人犯人と無関係な第三者[=殺害現場を物陰から覗いていた者など]が、殺人犯人が去った後、死体から財物を奪っても、窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪が成立するにとどまる。死者の生前の占有が死亡直後に保護されるのは、あくまでも、「殺人犯人」との関係において、だけである。

■強盗犯人が、初めから殺して財物を奪うつもりで、被害者を殺害した場合には、その時点で、強盗殺人罪が既遂となる。

つづく・・・
タグ:刑法各論
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 11:40| Comment(0) | 刑法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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