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2012年02月18日

独学院 窃盗の罪から

参りましょう。

<窃盗の罪>

 窃盗の罪には、窃盗罪[235条]及び不動産侵奪罪[235条の2]がある。前者は他人の財物を窃取する犯罪であり、後者は他人の不動産を侵奪する犯罪である。
 いずれの未遂も処罰される。

<窃盗罪の客体>

 窃盗罪の客体となるのは、他人の占有する他人所有の財物である。
 ただし、自己の所有の財物であっても、他人が占有し、又は公務所の命令により他人が看守するものであるときは、他人の財物とみなされ、窃盗罪の客体となる[242条]。

★ 公務所とは、官公庁その他公務員が職務を行う所をいう。場所又は建造物のことではく、制度としての組織体をさす。
「公務所の命令により他人が看守するものであるとき」とは、例えば、執行官が差押・仮処分の対象とした物を第三者に保管させている場合である。

<窃盗罪の占有>

 235条の「占有」とは、財物に対して事実上の支配を有する状態をいう。

※民法上の占有との違い

 民法の占有とは異なり、より現実的な観念であって、自己のためにする意思[民法180条]は不要であり、また代理占有[同法181条]のような「観念的な占有」や「占有の相続」は認められないとされている。それゆえ、「所持」ともよばれる。

 刑法の占有が認められるためには、「占有の事実」と「占有の意思」が必要であると解されている。

≪占有の事実≫・・・財物を事実上支配しているという事実[客観的要件]
≪占有の意思≫・・・財物を事実上支配するという意思[主観的要件]

<占有の有無>

 窃盗罪の客体となるのは、「他人の占有する他人の財物」である。所有者が占有を喪失した財物は、窃盗罪の客体ではなく遺失物横領罪の客体となる。

 必ずしも財物を現実に握持することや、手元に置いて監視していることは必要ではないと解されている。
 社会観念上、物に対する支配が及んでいると認められる場合であればよい。

<占有が「ある」と認められた場合[→遺失物横領罪ではなく窃盗罪]>

@ 財物をある程度離れた場所においても、社会観念上、占有があると認められる場合がある。

・バスを待つ行列の移動中に置き忘れた写真機について、約5分後19.58メートル離れたところで気づいた場合→占有あり

※被害者が財物を「置いたことを忘れた」のではなく、「意識してそこに置いた」場合には、より広く占有が認められ易い。

・関東大震災の際に、Aが自己所有の財物を一時公道に置いて非難したものの、その財物の存在を認識し、かつ、これを放棄する意思が無かった場合には、Aの占有が認められる。

※これに対し、「被害者が置き忘れた場合」には、占有が認められにくくなる。

A 自分が排他的に支配している場所の中にある財物については、たとえそこを離れても、占有が認められる。

・Aが自宅に置いてきた本の占有はAの下にある。

B 他人が排他的に支配している場所の中にある財物については、その他人に占有が移転する。

・宿泊先の旅館の客室で、前日の宿泊客Aが置き忘れた財布を発見し、これを取得した場合→財布の所有者Aは、財布の占有を失っている。しかし、旅館内にある財布の占有は、「旅館の管理者」にある[→財布の所有者Aから旅館の管理者に占有が移転したとみることができる。]。その占有を侵害して他人Aの財布を盗取しているので、窃盗罪が成立する。

※その他の例

 飼いならされた犬が所有者の事実上の支配を及ぼし得べき地域外に出て行っても、その習性として飼育者のもとに帰来するのを常としているものは、特段の事情の生じない限り、直ちに飼育者の所持を離れたものであるとはいえない。

 海中に取り落とした物件については、落とし主の意に基づきこれを引き上げようとする者が、その落下場所の大体の位置を指示し、その引揚方を人に依頼した結果、その物件がその付近で発見されたときは、依頼者は、その物件に対し管理支配意思と支配可能な状態とを有するものといえるから、事実上の支配管理を有する。

<占有が「ない」とされた事例[→窃盗罪ではなく遺失物横領罪]>

<出題例1>

・終電で帰宅中、他の通勤客が網棚の上に置いた鞄を置いたまま途中の駅で降りたのを確認したうえ、終着駅でそれを取得した場合→窃盗罪ではなく遺失物横領罪になる。
 被害者[=鞄の所有者]の占有は失われている。また、旅館の場合と異なり、電車内は「一般人の立入りが可能」であって、電車の管理者[=車掌]の排他的支配が及んでいるとはいえないので、網棚に置き忘れられた鞄の占有が「電車の管理者」[=車掌]にあるとも認められない。網棚の上に置き忘れられた鞄には、誰の占有も及んでおらず、それを取得する行為には、窃盗罪は成立しない。

※「『電車の中の忘れ物』を取得→窃盗罪不成立」がポイント!

<出題例2>

・電車の車掌が、走行中の車内を点検中、下車した客が置き忘れたカメラを発見し、息子に与えるため、それを自宅に持ち帰る行為→窃盗罪ではなく遺失物横領罪。電車内に置き忘れられたカメラには、誰の占有も及んでいないから。

※「『電車の中の忘れ物』を取得→窃盗罪不成立」がポイント!

<占有の帰属>

 窃盗罪の客体となる財物は、「他人の占有」に属するものでなければならない。「自己の占有」する他人の財物は、窃盗罪ではなく横領罪の客体となる。窃盗罪と横領罪は次の点で異なる。

・窃盗罪の客体・・・「他人の」占有する他人の物
・横領罪の客体・・・「自己の」占有する他人の物

ポイントになるのは、「犯人の実行行為の時点で、財物の占有が被害者自身にあったのか、それとも犯人にあったのか」である。次のように異なる。

・財物の占有が「被害者自身」にあり→犯人はその占有を侵害して、財物を密かに奪取した→窃盗罪
・財物の占有が「犯人」にあり→犯人がその財物を領得した→横領罪

※占有の帰属が問題となる場合としては、「上下主従間の占有」、「共同占有」、「封緘[ふうかん]・施錠等が施された包装物の占有」がある。

<上下主従間の占有>

 例えば、○×酒店の店員Bが、店長Aの目を盗んで店の商品「大吟醸 夢雫」を自分のものにしたとする。この場合、Bの行為は窃盗罪なのか、横領罪なのか。

「大吟醸 夢雫」の占有が「店員B」にあるとすると→Bの行為は「横領罪」
「大吟醸 夢雫」の占有が「店長A」にあるとすると→Bの行為は「窃盗罪」

 判例は、雇用関係のように上下主従の関係にある者の間で事実上物を共同支配している場合においては、刑法上の占有は「上位者」[例えば、店の主人]にあり、「下位者」[例えば、店員]は占有補助者にすぎないと解している。
 したがって、例えば、商店の店員が商店内の商品を、店の主人に無断で持ち出した場合には、「窃盗罪」が成立する。

<共同占有>

 共同占有は、数人が共同して他人の財物を保管する場合である。判例は、共同保管者の1人が他の保管者の同意を得ることなく、不正に自己に領得する意思をもってその財物を自己単独の占有に移す行為は、共同占有者である他の保管者の占有を侵害して他人の財物を自己の支配内に移し不法に領得することになるので、その行為は窃盗罪を構成する、とした。

<封緘[ふうかん]・施錠等が施された包装物の占有>

 判例は、包装物全体の占有は受託者に属するが、内容物の占有は委託者に帰属するとしている。したがって、次のようになる。

≪受託者が包装を破らず、「包装物全体」を取得した場合≫・・・委託物横領罪
≪受託者が包装を破るなどし、「内容物」を取得した場合≫・・・窃盗罪

例えば、他人からその所有の衣類が入っている行李1個を預かり、保管していたような場合は、所有者である他人は行李に入っている衣類に対しては、その所持を失うものではなく、その衣類に質権を設定する目的で梱包を解き、行李から衣類を取り出したときは、衣類について窃盗罪を構成する。

<出題例>

・郵便集配人が、配達中の信書を開けて在中の小切手を取り出し、取得した場合→判例の趣旨に照らすと、窃盗罪が成立する。

・友人から留守番を一時頼まれた者が、その友人宅の金品を勝手に持ち出す行為→横領罪ではなく窃盗罪。「留守番を一時頼んだ」というだけでは、友人宅内部の金品の占有を犯人に移転したとはいえない。友人宅内の金品の占有は、依然として友人にある。

つづく・・・
ラベル:刑法各論
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 11:18| Comment(0) | 刑法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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