にほんブログ村 資格ブログ 司法書士試験へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ

何の記事を読むか、クリックしてね。

憲法 民法 民事保全法 民事訴訟法 民事執行法 供託法

不動産登記法 商業登記法 会社法 刑法


2012年02月16日

独学院 名誉毀損罪から

おはっす、参りましょう。

<名誉毀損罪>

 公然と事実を摘示し、人の名誉を棄損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処せられる。[230条1項]。

 人[自然人、法人等]の名誉を保護法益とする。

 「名誉」とは、人に対する社会的評価をいう。

 名誉毀損罪の行為は、公然と事実を摘示して、人の社会的評価を害するおそれのある状態を生じさせることである。
 「公然」とは、不特定又は多数の者が認識できる状態をいう。
 「事実の摘示」は、人の社会的評価を害するおそれのある事実を示すことである。例えば、万引きをした事実を示すことは事実の摘示にあたるが、「馬鹿者」といった評価を示しても事実の摘示にはあたらない。

 事実の摘示により、人の社会的評価を害するおそれのある状態を生じさせればよく、現実に社会的評価が害されなくてもよい[危険判、大判S12.2.28]。

 本罪の故意は、人の社会的評価を低下させるに足りる事実を公然と摘示することについて認識があれば足りる。

<真実性の証明>

 名誉毀損罪にあたる行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、罰せられない。[230条の2第1項]。

 この場合に、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなされる[同条2項]。

 名誉毀損罪にあたる行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、罰せられない[同条3項]。

 人の社会的評価を害する事実が摘示された場合には、その事実が真実であるか否かを問わず、原則として、名誉毀損罪が成立する。
 しかし、一方で、憲法は表現の自由を保障する[憲法21条]。民主主義社会においては、公共的な利益にかかわる事実について、表現の自由が最大限に保障されなければならない。
 そこで、表現の自由と人の名誉の調和を図るため、名誉毀損罪に該当する行為であっても、公共の利害に関する事実については、その事実が真実であることの証明があること等の要件を充たせば不可罰とされる。

<真実性の証明による不可罰の要件>

 名誉毀損行為が不処罰とされるには、以下の要件が必要である。

@ 摘示された事実が公共の利害に関するものであること
A 摘示の目的がもっぱら公益を図るためのものであること
B 事実が真実であることの証明があること

 公訴提起前[刑事裁判にかけられる前]の人の犯罪行為に関する事実については、公共の利害に関する事実とみなされるので、目的の公益性Aと真実性の証明Bの要件を充たせば処罰されない「230条の2第2項」。
 また、公務員又は公選による公務員の候補者[選挙の立候補者]に関する事実については、真実性の証明Bの要件を充たせば処罰されない[同条3項]。

 さらに、判例は、真実であることを証明できなかった場合でも、行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉棄損の罪は成立しないとした[最判S44.6.25]。

<侮辱罪>

 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処せられる[231条]。
 人[自然人、法人等]の名誉[社会的な評価]を保護法益とする。

 本罪の行為は、事実の摘示をしないで侮辱することである。「侮辱」とは、他人の人格を蔑視する価値判断を示すことをいう。例えば、「売国奴」、「選挙ブローカー」と怒鳴ったりするように、抽象的に人をけなす行為である。
 事実の摘示がない点で名誉毀損罪と区別される。

<信用毀損罪>

 虚偽の風説[ふうせつ]を流布「るふ」し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる[233条前段]。

 本罪は、個人の経済的信用、つまり、人の支払能力や支払意思に対する社会的信頼を保護法益とする。

 「虚偽の風説を流布し」とは、実際の事実とは異なった事項を内容とするうわさを不特定又は多数の者に知られわたるような態様で伝達することをいう。特定の人に告知する場合でも、順次多数人に伝播する可能性を認識していればよい。

 「偽計を用いて」とは、相手方の錯誤又は不知を利用し、又は社会生活上受容できる限度を超え不当に相手方を困惑させる手段術策をいう。
 
 「人の信用を毀損する」とは、人の経済的信用に対する社会の信頼を低下させる恐れのある状態を作出すればよく、現実に低下させたことを要しない。

<業務妨害罪>

 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる[233条後段]。
 威力を用いて人の業務を妨害した者も、上記の例により処罰される[243条]。

 本罪は、人の社会的活動の自由を保護法益とする。

 「業務」とは、自然人、法人その他の団体が社会生活上の地位に基づいて反復・継続して従事する事務をいう。

・本罪は人の社会的活動の自由を保護法益とする犯罪であるから、娯楽として行う行為や人の家庭生活上の行為は含まれない。
・反復・継続性がなければならず、団体の結成式というような、性質上、一回的一時的なものは、業務ではないとされる。

 本罪の行為は、@虚偽の風説の流布、A偽計、B威力により、人の業務を妨害することである。@、Aの場合を偽計業務妨害罪といい、Bの場合を威力業務妨害罪という。
 
 「威力を用いる」とは、人の自由意思を制圧するに足りる勢力をいい、現実に相手方が自由意思を制圧させることは要しない。たとえば、営業中の商家の表を強制的に板囲いした場合、食堂に蛇をまき散らした場合である。

■判例の趣旨に照らすと、業務妨害罪の構成要件は、人の業務を妨害することであるが、人とは、自然人又は法人に限られるものではなく、法人格のない団体の業務も、業務妨害罪における業務にあたる。

<解説>

 判例によると、業務妨害罪における「人」とは、自然人、法人その他の団体とされているから、法人格のない団体の業務も、職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業に該当する限り、本罪における業務に当たる。

◆業務妨害罪の「業務」に公務が含まれるか。

≪公務振り分け説≫[最判S62.3.12等]

 強制力を行使する権力的公務以外の公務については、公務も「業務」に含まれる。

≪身分振り分け説≫

 非公務員の行う公務に限り、公務も「業務」に含まれる。

≪消極説≫

 公務は、「業務」には一切含まれない。

≪積極説≫

 公務もすべて「業務」に含まれる。


◆業務妨害罪の「業務」に公務が含まれるか。

≪公務振り分け説≫最判

 強制力を行使する権力的公務以外の公務については、公務も「業務」に含まれる。

[理由]

 公務もこれを行う公務員等にとっては、人の社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務であることに変わりはない。ただし、公務に対する妨害については、公務執行妨害罪が定められているが、同罪が暴行・脅迫による妨害を処罰対象としていることからすると、強制力を有する公務員[警察官等]に対する暴行・脅迫に至らない威力等による抵抗については、その強制力によって排除すればよく、刑罰の対象外としたものと解される。→偽計・威力により警察官の逮捕行為を妨害しても、業務妨害罪は成立しない。

≪身分振り分け説≫

 非公務員の行う公務に限り、公務も「業務」に含まれる。→非公務員による公務は、業務妨害罪の対象になるが、公務員による公務はその対象にならない。

≪消極説≫

 公務は、「業務」には一切含まれない。

[理由]

 公務に対する妨害については公務執行妨害罪が定められている以上、公務は公務執行妨害罪によって保護するのが法の建前である。公務執行妨害罪は国家的法益に対する罪であり、業務妨害罪は個人的法益に対する罪であるから、安易に競合させるべきではない。→非公務員による公務については、刑法上保護は与えられない。

≪積極説≫

 公務もすべて「業務」に含まれる。

[理由]

 業務妨害罪は、個人の社会的活動の自由を保護法益とするが、公務も公務員にとって社会活動である。→偽計・威力により警察官等の職務を妨害した場合には、業務妨害罪が成立する。


■判例の趣旨に照らすと、業務妨害罪における業務には、一定の公務は含まれないが、県議会の委員会において条例案の審議中に反対派住民多数が委員会室に侵入し、委員に暴言を浴びせるなどしたうえ、委員長らの退室要求を無視して同室内を占拠して、委員会の審議採決を一時不能にさせた場合、業務妨害罪が成立する。

<解説>

 業務妨害罪における業務に公務が含まれるかどうかについては、学説に争いがある。判例においても、戦前から戦後の一時期までは、公務は全面的に含まれないとしていたが、その後、国鉄職員の業務について、民営鉄道の業務と実体は同じであり、含まれるとした。さらに、国立大学の業務、郵便局の業務等も含まれるとする判例が表れた。最高裁は、「強制力を行使する権力的業務」以外の業務は、本罪における業務に含まれるとし、県議会の委員会の条例案採決を妨害した事案について、本罪の成立を認めている。

■ 判例の趣旨に照らすと、業務妨害罪における「業務」とは、自然人、法人その他の団体が社会生活上の地位に基づいて反復・継続して従事する事務をいい、報酬や、収入の有無は問われない。
 したがって、「業務」[233条・234条]とは、報酬又は収入を伴うものでなくても良い。

■ 判例の趣旨に照らすと、業務妨害罪における「業務」には、娯楽のために行われる自動車の運転は含まれない。

<解説>

 業務妨害罪における「業務」とは、自然人、法人その他の団体が社会生活上の地位に基づいて反復・継続して従事する事務をいう。
 もっとも、本罪は、人の社会的活動の自由を保護法益とすることから、反復・継続して従事する事務であっても、娯楽で行うものや、日常の家庭生活上の仕事は含まれない。
 したがって、娯楽のために行われる自動車の運転は、業務妨害罪における業務には含まれない。なお、業務上過失致死傷害罪[211条1項前段]における業務には、娯楽のために行われる自動車の運転も含まれる。

■ 判例の趣旨に照らすと、業務妨害罪における業務とは、職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業をいうから、嫌がらせのために夜中に人家の前で大声をあげるなどしてその家の家人の睡眠を妨害しただけでは、業務妨害罪は成立しない。

<解説>

 判例によると、業務妨害罪における業務とは、精神的であると経済的であるとを問わず、広く職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業を総称するとされている。したがって、会社創立事業、宗教団体の社会奉仕活動等は業務と言えるが、娯楽としての行為や日常の家庭生活、1回限り行われる団体の結成式等は業務とはいえない。よって、家人の睡眠を妨害しただけでは、本罪は成立しない。

■ 判例の趣旨に照らすと、業務妨害罪における業務は、適法なものに限られるわけではなく、その業務が許可制であるにもかかわらず、その許可を得ずに行われている場合であっても、その業務は業務妨害罪における業務にあたることもある。

<解説>

 判例によると、業務妨害罪における業務は、「事実上平穏に行われている一定の業務」であって、反社会性が明らかな場合は格別、その業務が開始される原因をなった契約が民法上有効であること、その業務に関する行政上の許可が存在すること、行政取締法規に違反する不適格な点がないこと等は、必ずしも刑法上保護される「業務」の要件ではない。
 具体的には、耕作権のない者が行う農業、県知事の許可を得ていない湯屋営業の業務、風俗営業法で禁止されているパチンコ景品買入業務等が、業務妨害罪における業務にあたるとされている。

■ 判例の趣旨に照らすと、業務妨害罪の構成要件は、必ずしも「業務を妨害した」とこに限られるものではなく、業務妨害罪が成立するには、業務の遂行に対する妨害の結果を発生させるおそれのある行為をしただけで足り、現実に業務妨害の結果が発生したことは必要ではない。

<解説>

 判例によれば、業務妨害罪における妨害行為は、単に業務の執行自体を妨害する行為だけでなく、広く業務の運営を阻害する一切の行為を含むと解されていおり、業務の遂行に対する「妨害の結果を発生させるおそれのある行為」をしただけで足りるとしている。ただし、条文には「妨害した者」とあるので、結果の発生が必要であるとする説もある。

つづく・・・
 
ラベル:刑法各論
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 11:53| Comment(0) | 刑法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

トップページへ
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。