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2012年02月13日

独学院 刑法各論の意義・体系から

参りましょう。

<刑法各論の意義・体系>

 刑法総論では、全ての犯罪に共通する成立要件[構成要件→違法性→有責性など]が検討される。刑法各論では、個々の犯罪について、固有の成立要件が検討される。

 刑法第2編「罪」の各犯罪は、保護法益の種類に応じて、「個人的法益に対する罪」「社会的法益に対する罪」「国家的法益に対する罪」に類型化される。

・「個人的法益に対する罪」は、さらに、@生命・身体に対する罪、A自由に対する罪、B名誉・信用に対する罪、C財産に対する罪に分類される。

・「社会的法益に対する罪」は、さらに、@公衆の安全に対する罪、A公衆の信用に対する罪、B風俗に対する罪に分類される。

・「国家的法益に対する罪」は、さらに、@国家存立に対する罪、A国家作用に対する罪、B国交に対する罪に分類される。

<生命及び身体に対する罪>

 人間の生命・身体は、あらゆる価値の根源であって、個人的法益の中でも最も重要なものであるから、人間の生命・身体に対する罪は、最も重大な犯罪である。

 人間の生命・身体に対する罪として、殺人の罪、傷害の罪、過失傷害の罪、堕胎の罪、遺棄の罪が規定されている。

<殺人の罪>

 殺人の罪は、殺人罪「199条」、自殺関与・同意殺人罪「202条」及びこれらの未遂罪[203条]からなる。さらに殺人罪については予備行為も処罰される[201条]。

<殺人罪の客体>

 殺人罪の客体は、人である。人とは、生きている自然人をいう。すなわち、その出生から死亡までが「人」として保護される。まだ出生していない胎児を殺しても、殺人罪とはんらない[→「堕胎罪」へ]。

≪人の始期≫

 胎児はいつから人になるのか。
 判例・通説は、胎児が母親から一部露出した時に出生があり、「人」になると解している。なぜなら、胎児が母親から一部露出した状態になれば、外部から死亡に至る侵害を加えることができるからである。

≪人の終期≫

 人の終期は死亡した時点である。死亡をどのような基準で判定するのかについては、「三徴候説」[通説]と「脳死説」がある。

<殺人罪の実行行為、罪数>

[1]殺人とは、殺人の故意をもって、自然の死期に先立って他人の生命を奪うことである。
仮に死期が確実であっても、自然死に先んじて死を促進させた場合は殺人行為である。例えば、事故で瀕死の状態にある者を包丁で刺したというような場合も殺人にあたる。
 殺人の手段・方法には制限はない。有形的な方法はもとより、たとえば強度の精神的衝撃を与える等の無形的な方法によっても良い。

[2]殺人罪の罪数は、行為の客体である「人」[=被害者]の数が基準とされる。生命は各人に固有の一身専属的な法益であって、各被害者ごとに独立して評価されるべきだからである。

・1人の人間に対して数回殺人行為を行い、最終的に殺害した場合、殺人罪「一」罪が成立する。

・1個の行為で3人を殺害した場合には3個の殺人罪が成立する。ただし、1個の行為で行っているので「観念的競合」[54条1項前段]となる。

<自殺関与・同意殺人罪>

 人を教唆し、若しくは幇助して自殺させ[自殺関与罪]、または人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した[同意殺人罪]者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処せられる「202条」。

 一般に、自殺することは違法ではないと解されている。ただ、生命は本人だけが左右することのできるものであり、他人がそれに干渉したり原因を与えたりする行為は違法である。それゆえ本条が定められた。本条は、刑法総則の一般的な犯罪規定[61条・62条]の教唆・幇助とは全く別個に、他人の生命の否定に関与する行為を独自に処罰したものだと解されている。

<自殺関与罪の行為>

[1]自殺関与罪の行為は、教唆若しくは幇助である。

 「教唆」とは、自殺の意思のない者に、故意に基づいて何らかの手段を講じ自殺の意思を生じさせ自殺させることをいう。
 「幇助」とは、すでに自殺を決意している者に対して、その自殺行為を援助し、自殺を容易にさせることをいう。

[2]同意殺人罪の行為は、被殺者の嘱託を受け、又はその承諾を得て殺すことである。

・「嘱託」とは、被殺者がその殺害を依頼することをいう。
・「承諾」とは、被殺者がその殺害の申込みに同意することをいう。

 嘱託、承諾は、「真意に基づいて」なされたものでなければならない。すなわち、死亡することの意味を熟慮した上、自由な意思により殺害を依頼し、又は同意するものでなければならない。
 また、嘱託、承諾は、普通の事理弁識能力を有する被殺者自身が表明し、また殺害行為時に存在していなければならない。

<傷害罪・傷害致死罪>

 人の身体を傷害した者は、傷害罪として、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる「204条」。
 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、傷害致死罪として、3年以上の有期懲役に処せられる[205条]。

 傷害罪は、人の身体の安全を保護法益とする。
 傷害の結果、被害者が死亡した場合には、傷害罪の結果的加重犯として傷害致死罪が成立する。

<傷害の意義>

 「傷害」とは、具体的にどのような状態をさすのか。殴ってけがをさせたりすれば、「傷害」に当たることは問題ない。それでは、女性の髪を根元から剃って丸坊主にしてしまう行為について、傷害罪が成立するか。

 傷害の意義をいかに解するかについては、次の2説が対立する。
・A説・・・「傷害」とは、「生理的機能」を害することをさす。
・B説・・・「傷害」とは、「身体の完全性」を害することをさす。

 女性の頭を丸坊主にしてもその「生理的機能」は害されないが、「身体の完全性」は害される。

・A説・・・女性の髪を根元から剃ると、傷害罪ではなく暴行罪
・B説・・・女性の髪を根元から剃ると、傷害罪

 判例は、A説に立ち、暴行罪「208条」が成立するにとどまるとした。

≪その他「傷害」にあたるとされた例≫

・病毒を感染させる
・メチルアルコールを飲ませて疲労・倦怠感を覚えさせる

<傷害罪の客体>

 傷害罪の客体は、「人の身体」である。

・「人の身体」とは、「自然人である他人の身体」を意味する。
・「人の身体」に「自己の身体」は含まれない。
 自分の身体を傷害しても[「自傷行為」という。]、傷害罪は成立しない。

<傷害行為>

 傷害には、殴る、蹴るといった「暴行による場合」だけでなく、「暴行によらない場合」もある。
 たとえば、嫌がらせの電話を繰り返しかけて、相手方に不眠症や精神に異常をもたらす行為も、傷害行為にあたるとされる。

※暴行とは、人に対する不法な有形力の行使をいう。

◆≪最決H17年3月29日≫

 隣家の住人に精神的ストレスによる傷害を生じさせることを認識しながら、約1年半の間、連日朝から深夜ないし翌朝まで、窓際やその付近に置いたラジオや目覚時計を大音量で鳴らし続け、隣家の住人を慢性頭痛症などにさせた場合は、傷害罪にあたる。→騒音まき散らし行為は、「暴行」には当たらない。「暴行によらない傷害」の一例。

※ところで、傷害罪には未遂犯処罰規定が存在しない。

・「暴行の方法」による場合、傷害の故意で、暴行の結果しか発生しなかった場合には、暴行罪が成立する。

・「暴行以外の方法」による場合、傷害の故意で、傷害の結果が発生しなかった場合には、「犯罪は不成立」である。

<傷害罪の故意>

 判例は、傷害罪が成立するためには、必ずしも「傷害の故意」のあることを必要とせず、「暴行の故意」でもよいとしている。傷害罪は、「傷害の故意犯」であると同時に、「暴行罪の結果的加重犯」でもある。

 暴行の方法による傷害罪の場合、次のようになる。

[1]暴行の故意で、傷害の結果→傷害罪。傷害罪は暴行罪の結果的加重犯でもあるから。
<例> 「怪我をさせずに単に殴る」つもりで殴ったところ、怪我をさせた場合には、傷害罪が成立する。

[2]傷害の故意で、暴行の結果→暴行罪。傷害罪の未遂犯処罰規定はないから。
<例> 「怪我をさせる」つもりで殴ったところ、怪我をさせることができなかったという場合には、暴行罪が成立する。

<傷害致死罪の故意>

 傷害致死罪は、「傷害の故意」で人に傷害を与え、その結果被害者が死亡に至った場合に成立する。つまり、傷害致死罪は、「傷害罪の結果的加重犯」である。

 さらに、傷害致死罪は、「暴行の故意」で人に傷害を与え、その結果被害者が死亡に至った場合にも、成立する。「暴行罪のニ重の結果的加重犯」であると解されている。

[1]「殺さずに怪我をさせる」つもりで殴ったら、被害者が死亡。
 「傷害」の故意で、死亡の結果→傷害致死罪が成立する。

[2]「殺さずに、かつ怪我をさせずに、単に殴る」つもりで殴ったら、被害者が死亡。
 「暴行」の故意で、死亡の結果→傷害致死罪が成立する。

<同時傷害の特例[207条]>

 「二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。」

[趣旨]

 2人以上の者が意思の連絡なしに暴行を加えて人を傷害した場合には、傷害罪の共同正犯は成立しない。よって、各行為者は、それぞれ、みずからの行為との間に因果関係のある傷害結果についてのみ責任を負うことになる。
 しかし、同時犯としての暴行が行われた場合には、それぞれの暴行と傷害の因果関係を特定するのは困難であることが多い。その因果関係が不明であるときは、各行為者は暴行罪の範囲で処罰されるはずである。
 しかし、それでは被害者保護に欠けることから、立証の困難を救済するため、本条が定められた。

 本条の法的性格については、@挙証責任の転換とA法律上の擬制を認めたものだと解されている[通説]。

@ 挙証責任の転換

 訴訟上の挙証責任を被告人に転換し、被告人が自らの暴行と傷害との因果関係がないことを証明しない限り、共同正犯の責任を負うとした。

A 法律上の擬制

 実際には共同正犯ではない者たちであっても、共同正犯とするとして、法律上の擬制を認めた。

※ 判例は、207条は「傷害致死罪」にも適用されるとする。これに対しては、反対する学説がある。

<暴行罪>

 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処せられる「208条」。
 暴行罪は人の身体の安全を保護法益とする。

 暴行罪の「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使のことをいう。

・殴る、蹴る、手で他人の肩を押して土間に転落させる行為は、「暴行」にあたる。

・傷害の結果を生じさせる恐れのない行為でも、それが「直接人の身体に加えられる」のであれば、「暴行」にあたる。[つば吐き」とか、「塩のふりかけ」とかである。

・傷害結果発生の具体的危険性を発生させる行為であれば、直接被害者の身体に触れることなくともよい。狭い室内で日本刀の抜き身を振り回す行為も暴行にあたる。

 暴行罪の故意は、人の身体に対して不法な有形力を行使する認識で足りる。

<暴行の意義の多義性>

 暴行罪以外の罪でも「暴行」を犯罪の構成要件とするものが数多くある。しかし、犯罪によって「暴行」の意義は様々である。

@ 最広義の暴行・・・「人」に対すると「物」に対するとを問わず、不法な有形力の行使のすべてをいう。内乱罪[77条]、騒乱罪[106条]等にいう暴行である。

A 広義の暴行・・・「人」に対する不法な有形力の行使をいう。
 直接身体に向けられたものでなくてもよく、人の身体に物理的に強い影響を与え得るものであればよい。公務執行妨害罪[95条1項]、強要罪[223条1項]等にいう暴行である。

B 狭義の暴行・・・人の「身体」に対する不法な有形力の行使をいう。暴行罪[208条]にいう暴行である。

C 最狭義の暴行・・・人の犯行を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使をいう。強姦罪[177条]、強盗罪[236条]にいう暴行である。

<過失傷害の罪>

 過失傷害の罪は、過失行為によって他人の身体・生命を侵害する犯罪である。
 過失行為とは、法律上の注意義務に違反する行為である。過失傷害の罪は、過失行為により人に死傷の結果を生じさせたことを要する。

 過失傷害の罪は、次の通りである。

@ 過失傷害罪[209条1項]
 過失により人を傷害した者[30万円以下の罰金又は科料]

A 業務上過失致死罪[211条1項後段]
 重大な過失により人を傷害させた者[5年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金]

<業務上過失致死傷罪・重過失致死傷罪>

[1]過失行為により死傷の結果が生じた場合に、それが業務上の過失にもとづくときは、「業務上過失致死傷罪」[211条1項前段]が成立する。過失致死傷罪・過失致死罪に比べて刑が加重される。

≪過失致傷罪・過失致死罪に比べて刑が加重される理由≫

 一定の業務に従事する者には、一般人よりも「特別に高度の注意義務」がかせられており、これに違反して死傷結果を発生させたことに基づくと解されている。

 本条の「業務」とは、人が生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、かつその行為は他人の生命身体等に危害を加えるおそれのあるものをいい、行為者の目的がこれによって収入を得るとその他の欲望を充たすにあるとを問わない。

※ 「社会生活上の」とは、「個人的な生活活動」[育児、家事など]はそこに含まれないとの意味である。

※ 業務上過失致死傷罪の「業務」には、「それ自体人の身体生命に対する危険性のある行為」だけでなく、「危険の発生しやす生活関係において、人の生命・身体の危険を防止することを目的とする職務」も含まれる。例えば、建物の管理者たる地位に基づく管理事務などである。

※ 「反復継続」がポイント。

・「反復継続」であれば、職業上・営業上の行為に限らない。
例えば、トラック運転手が余暇の浜遊びのために自動車を運転することとか、娯楽のための狩猟行為なども、反復継続して行うかぎり、「業務」にあたる。
・反復継続して行う意思があれば、1回の行為でも業務にあたる。「初めての運転で事故」でも、本罪が成立する。
・「業務」は、適法な業務に限られない。無免許運転などでも、本罪が成立しるう。

[2]わずかな注意を払えば注意義務を尽くすことができたのに、これを怠ったというように、「注意義務違反の程度が著しい場合」には、重過失致死傷罪が成立する。「注意義務違反の程度が著しい」ことに基づいて、刑が加重されている。

つづく・・・
タグ:刑法各論
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 15:32| Comment(0) | 刑法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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