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2012年02月12日

独学院 刑の執行猶予から

参りましょう。

<刑の執行猶予>

 刑の執行猶予とは、刑を言い渡すにあたり、犯情により必ずしも刑の現実的な執行を必要としない場合に、一定の期間、その執行を猶予し、猶予期間を無事に経過したときは、刑罰権の消滅を認める制度をいう[25条以下]。

 刑の執行猶予制度は、刑の執行による弊害[失業、家族離散、刑務所内での悪風感染等]や、刑務所帰りというラベリングによる就職の困難等の弊害を回避し、かつ、条件に違反すれば取消しによる刑の執行が待っているという心理的強制により、犯人の自覚に基づく再犯防止を図ることを目的とする。

<執行猶予の要件>

 刑の執行猶予は、初度の執行猶予[25重1項]と、現に執行が猶予されている場合に再び罪を犯し、再度その執行を猶予する場合[同条2項、再度の執行猶予]とでは、その要件が異なる。

■ 初度の執行猶予の要件

 刑の執行の猶予がなされるのは、前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者、または、前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者でなければならない。

 執行猶予は、上記の者が、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けた場合に、情状によって許される[同条1項]。

 「前に」とは、執行猶予の判決の言渡しの前に、という意味であり、既に刑に処せられた罪が現に審判すべき犯罪の前後いずれに犯されたかは問わない。

<執行猶予の要件>

 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を猶予された者が、1年以上の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときにも、その執行を猶予することができる。ただし、25条の2第1項の規定によって保護観察に付せられ、その期間内にさらに罪を犯した者については、再度の執行猶予は許されない。

 初度の執行猶予の場合と異なり、再度の執行猶予の場合には、猶予の期間中は必要的に保護観察に付さなければならない[25条の2第1項]。

 執行猶予の期間は、初度か再度かを問わず、裁判が確定した日から1年以上5年以下である[25条1項]。

<刑の執行猶予の取り消し>

 刑の執行猶予は、一定の事由がある場合には取り消される。取消しが確定すると、判決で言い渡された刑罰が現実に執行される。
 刑法は、刑の執行猶予の取消事由として、必要的取消事由[26条]と任意的取消事由[26条の2]の2種類を定めている。

■ 必要的取消し

@ 猶予の期間内にさらに罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき[26条1項]。
A 猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき[同条2項]。
B 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき[同条3号]。

■ 任意的取消し

@ 猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき[26条の2第1号]
A 25条の2第1項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき[2号]。
B 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その執行を猶予されたことが発覚したとき[3号]。

<刑の執行猶予の効果>

 刑の執行が猶予される。
 しかし、刑の言渡しは存在したのであるから、刑の言渡しに伴う法的不利益を免れるものではない。たとえば、その施行猶予が、次の刑の執行猶予を制限する事由となり[25条2項]、また、法令による一定の資格制限の事由となる[国家公務員法38条・裁判所法46条等]。

 刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過した時は、刑の言渡しは、効力を失う[27条]。[刑の言渡しは、効力を失う」とは、単に刑の執行が免除されるだけでなく、刑の言渡しの効力が将来的に消滅するという意味である。

<第25条>[執行猶予]

@ 次に掲げる者が、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
ニ 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

A 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその執行を猶予された者が1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第1項の規定に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第1項の規定により保護観察に付され、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

■ 判例の趣旨に照らせば、執行猶予の期間中の者に懲役刑を言い渡す場合には、その刑の執行を猶予することができる。

<解説>

 刑の執行猶予の対象となる者は、再度の施行猶予については、「前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を猶予された者」[25条2項]である。
 そして、下級審は、「執行を猶予された者」とは、裁判時において現に執行猶予中の者を指すとする。したがって、執行猶予中の者に懲役刑を言い渡す場合には、再度の執行猶予の問題となり、25条2項の他の条件[1年以下の懲役刑の言渡しでかつ情状が特に酌量すべき者であること]をみたせば、刑の執行を猶予することができる。

■ 判例の趣旨に照らせば、執行猶予の判決が確定した後、その確定前に犯した罪について刑を言い渡す場合には、その刑の執行を猶予するこができる。

<解説>

 判例は、併合罪の関係にある罪数が前後して起訴され、前に起訴された罪について執行猶予が確定した後、後に起訴された余罪が同時に審判されていたならば一括して執行猶予が言い渡されていたであろうときは、後に起訴された施行猶予確定前に犯した余罪について、25条1項によりさらに執行猶予を言い渡すことができるとする。
 これは、仮に同時に審判されていたならば、一括して25条1項により刑の執行猶予がなしえたはずであることを考慮したのである。

■拘留20日の刑に処する場合は、その執行を猶予することができない。

<解説>

 執行猶予を付することのできる刑は、懲役、禁錮、罰金である。したがって、拘留に執行猶予を付することはできない。

■ 罰金100万円の刑を言い渡す場合には、その刑の執行を猶予することができない。

 執行猶予を付することのできる刑は、懲役・禁錮・罰金であり、そのうち、罰金刑につき執行猶予を付することができるのは、初度の執行猶予の場合だけである。そして、初度の執行猶予については、法定の条件をみたす者が「50万円以下の罰金」の言渡しを受けた場合[25条1項]に、執行猶予を付することができるとされている。したがって、罰金100万円の刑を言い渡す場合には、執行猶予を付することはできない。

■ 「前に禁錮以上の刑を受けてその執行を終わった者に懲役3年の刑を言い渡す場合には、その刑の執行を猶予することができない」というわけではない。

<解説>

 前に禁錮以上の刑を受けてその執行が終わった者に対しては、その執行を終わった日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがなければ、懲役3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金を言い渡す場合に限り、刑の執行を猶予することができる。

■ 懲役2年の刑の執行猶予の期間中に再び犯罪を犯し、禁錮1年6月の刑に処する場合には、さらにその執行を猶予することができない。

<解説>

 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を猶予された者が、1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときには、再度の執行猶予を認めることも可能である。
 しかし設問は、禁錮1年6月の刑の言渡しを受けた場合であるから、再度の執行猶予を認めることはできない。

■ 禁錮刑の執行猶予期間に新たな罪を犯した者に対し、執行猶予期間が経過しない時点で、その新たな罪につき、保護観察に付さない執行猶予付き懲役刑を言い渡すことは、法律上許されない。

<解説>

 禁錮刑の執行猶予期間中に新たな罪を犯した者に対し、執行猶予期間が経過しない時点で、その新たな罪につき1年以下の懲役又は禁錮の言渡しをする際に、再度、その刑の執行を猶予すること自体は可能である。
 しかし、再度の執行猶予の場合には、必要的に、その執行猶予期間中保護観察に付さなければならない。これは、刑の言渡しと同時に判決で言い渡される。
 したがって設問において、その新たな罪につき、保護観察に付さない執行猶予付き懲役刑を言い渡すことは、法律上許されない。

■ 懲役刑の執行を猶予されて保護観察に付された者が、その保護観察期間中に犯した詐欺罪については、再び執行猶予にすることはできない。

<解説>
 
 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を猶予された者が、1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に斟酌すべきものがあるときには、執行猶予を認めることが可能である。
 ただし、執行を猶予された者が保護観察に付され、その保護観察期間内にさらに罪を犯した者については、執行猶予は許されない。したがって、懲役刑の執行を猶予されて保護観察に付された者が、その保護観察期間中に犯した詐欺罪については、再び執行猶予にすることができない。

■ 執行猶予の期間中の者に禁錮以上の実刑判決が言い渡された場合には、執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。

<解説>

 執行猶予の取消しとして刑法は、必要的取消しと任意的取消しの2種類を定めている。取消しが確定すると、判決で言い渡された刑罰が現実に執行される。
 必要的取消事由は、@執行猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき、A猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき、B猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき、である。
 設問においては、執行有の期間中の者に禁錮刑の実刑判決が言い渡された場合であるので、必要的取消事由の@執行猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮刑に処せられ、執行猶予がふされなかったとき、あるいはA猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮刑に処せられ、執行猶予が付されなかったとき、のいずれかにあたる。よって、裁判所は執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。

刑法総論終わり、つづく・・・

ラベル:刑法
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 17:45| Comment(0) | 刑法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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