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2011年08月31日

独学院 供託物払渡請求権の処分等

こんにちは、参りましょう。

 供託物払渡請求権は、供託物に対する実体的請求権であることから、通常の指名債権と同様にこれを譲渡することができるし、債権質の設定に準じてこれを質入れすることができる。
 また、強制執行や滞納処分による差押え等の処分の制限の対象となるし、供託受諾の意思表示や請求権の行使・放棄等又は消滅時効により消滅することもある。

供託物払渡請求の処分等―還付請求と取戻請求権の関係

 供託物払渡請求には、還付請求権と取戻請求権があるが、これらの請求権はそれぞれ独立した別個の請求権であることから、一方の請求権の処分等は、原則として、他方の請求権の行使に影響を及ぼさない。したがって、例えば、弁済供託において、被供託者の債権者により供託物の還付請求権が差し押さえられた後であっても、供託者は、供託物の取戻しを請求することができる。
 ただし、還付請求権が譲渡され、その譲渡通知書が供託所に送達された場合、その内容から供託受諾の意思があるものと認められるときは、供託受諾の意思表示があったものとして取り扱われることから、供託受諾の効果として取戻請求権が消滅するため、供託者から供託不受諾を原因とする取戻請求をすることはできなくなる。
 なお、同一の払渡請求権について譲渡が競合した場合や差押えと添付命令が競合した場合の優劣関係は、供託所に対する通知や命令所等の送達の時間的前後により決せられる。

供託物払渡請求権の処分等

 供託物払渡請求権は、供託物に対する実体的請求権であることから、通常の指名債権と同様、民法の債権譲渡の規定によってこれを譲渡することができる。そのため、払渡請求権を譲渡するには、供託関係における債務者の地位にある供託所に対し、払渡請求権の譲渡通知書を送付しなければならない。
 また、供託所が譲渡通知書を受け取ったときは、供託官がこれに受付の旨及び受付年月日時分を記載するものとされていることから、確定日付けのない譲渡通知書であっても、これにより確定日付のある証書としての効力を生じるため、供託所以外の第三者に対しても、払渡請求権の譲渡を対抗することができることになる。
 なお、払渡請求権が譲渡された場合であっても、併せて利息請求権の譲渡がされたものと解することはできないため、譲渡通知書に利息請求権の譲渡が明記されていない限り、譲渡通知書が供託所に送付された日の前日までの利息は譲渡人に、その日以後に生じた利息は譲受人に払い渡されることとなる。

供託物払渡請求権の消滅時効

 供託手続は、供託物払渡請求権が時効により消滅した場合にも終了する。すなわち、還付請求権及び取戻請求権の双方について消滅時効が完成した後は、供託物払渡請求をすることはできなくなり、当該供託物は、時効による歳入納付の手続を経て国庫に帰属することになる。
 供託物払渡請求権の消滅時効の期間については、供託の種類を問わず、民法第167条第1項の規定により10年とされている。なお、供託物が有価証券である場合には、民法上所有権(に基づく物権的返還請求権)について消滅時効を認めていないことから、供託物払渡請求権は時効により消滅しないものとされている。

供託物払渡請求権の消滅時効の起算点

 消滅時効の起算点は、「権利を行使することができるとき」とされていることから、供託物払渡請求権は、原則として、権利を行使することができるときから10年間で時効により消滅する。
 もっとも、還付請求権と取戻請求権は、それぞれ独立した別個の請求権であることから、還付請求権の消滅時効の起算点と取戻請求権の消滅時効の起算点は必ずしも同一時点とはならない。

 裁判上の担保供託における供託物払渡請求権の消滅時効は、原則として、取戻請求権については供託原因が消滅したときから、還付請求権についてはその損害が確定したときから進行するものとされている。また、供託金の元本の受取人と供託金利息の受取人が異なる場合等、元本と利息・利札の払渡し時期が異なる場合には、利息請求権の消滅時効の起算点は、供託物払渡請求権の消滅時効の起算点とは異なってくる。例えば、供託金の元本の受取人と供託金利息の受取人が異なる場合、供託金の利息は元本を払い渡した後に払い渡すものとされているため、利息請求権の消滅時効は、元本を払い渡した日の翌日から進行することになる。

弁済供託以外の供託物払渡請求権の消滅時効の起算点

 裁判上の担保供託、営業保証供託等の供託物払渡請求権については、権利を行使することができるときから10年で時効により消滅する。したがって、例えば、裁判上の担保供託における還付請求権は、その損害が確定したときから10年で消滅し、取戻請求権は、原則として、供託原因が消滅したときから10年で消滅することになる。また、同様に執行供託や選挙供託等その他の供託の取戻請求権についても、供託原因が消滅したときから10年で消滅することになる。

●営業保証供託のうち、その供託根拠法令等において取戻請求の前提手続として、債権者等に一定期間内に権利の申し出をすべき旨の公告等が義務付けられているものについては、供託原因消滅後、権利申出期間として定められている期間を経過したときから消滅時効が進行するものとされている。

錯誤を事由とする取戻請求権の消滅時効の起算点

 錯誤を事由とする取戻請求権の消滅時効の起算点は、(1)供託書の供託原因欄の記載により、供託時において既に供託原因の不存在が明白であり、錯誤を証する書面の添付を要さずに取戻請求を認可し得るような場合には、「供託時」であり、(2)それ以外の場合には、取戻請求に際して添付された書面等(確定判決等の錯誤を証する書面)によって、「供託が錯誤によるものであることが確定した時点」であるものとされている。

弁済供託の供託物還付請求権の消滅時効の起算点

(1)当事者間に紛争が存しない場合

 供託物払渡請求権は、原則として、「権利を行使することができるとき」から10年で時効により消滅する。すなわち、当事者間に紛争が存しない場合には、被供託者はいつでも供託物の還付請求権を行使することが可能であることから、この場合における還付請求権の消滅以降は、原則として「供託時」から進行することになる。ただし、反対給付を条件とする弁済供託の還付請求権の消滅時効については、「反対給付を提供したとき」から進行する。

(2)当事者に紛争がある場合

 供託物払渡請求権は、原則として、「権利を行使することができるとき」から10年で時効により消滅する。したがって、当事者間に紛争がある場合における還付請求権の消滅時効は、「当該供託の基礎となった事実関係をめぐる紛争が解決する等により、供託当事者において払渡請求権の行使が現実に期待することができることとなった時点」から進行するものとされている。
 したがって、例えば、受領不能を原因とする弁済供託について、供託不受諾を事由とする取戻請求がされた場合において、供託時には供託の基礎となった事実関係をめぐる紛争が存在しないときは、供託の基礎となった債務の弁済期(供託がこれに後れるときは供託のとき)から10年が経過したときから、取戻請求権の消滅時効は進行する。

利息請求権の消滅時効の起算点

(1)弁済供託における利息請求権

 弁済供託における供託金の利息は、原則として、元本と同時に払い渡すものとされているため、元本の払渡前に利息請求権について単独で消滅時効が進行するものではない。ただし、元本の受取人と供託金利息の受取人が異なる場合等には、利息請求権の消滅時効は、元本を払渡した日の翌日から進行し、10年で時効が完成することになる。

(2)担保(保証)供託における利息請求権

 保証として金銭を供託した場合には、毎年、供託した月に応当する月の末日後に、同日までの利息の払渡を受けることができるものとされているため、この場合における利息請求権の消滅時効は、毎年、供託した月に応当する月の末日の翌日から起算される。なお、保証供託金の利息は、民法169条の定期給付債権とされており、5年で時効が完成することになる。

<供託物払渡請求権の消滅時効に関する先例等>

●供託物が有価証券である場合には、民法上所有権(に基づく物権的請求権)について消滅時効を認めていないことから、供託物払渡請求権は時効により消滅しないものとされている。
●営業保証供託のうち、その供託根拠法令等において取戻請求の前提手続として、債権者等に一定期間内に権利の申出をすべき旨の公告等が義務付けられているものについては、供託原因消滅後、権利申出期間として定められている期間を経過したときから消滅時効が進行するものとされている。
●供託金の元本の受取人と供託金利息の受取人が異なる場合、供託金の利息は元本を払い渡した後に払い渡すものとされているため、利息請求権の消滅時効は、元本を払い渡した日の翌日から進行することになる。
●当事者間に紛争が存しない場合には、被供託者はいつでも供託物の還付請求権を行使することが可能であることから、この場合における還付請求権の消滅時効は、原則として供託時から進行することになる。ただし、反対給付を条件とする弁済供託の還付請求権の消滅時効については、「反対給付を提供したとき」から進行する。
●当事者間に紛争がある場合における還付請求権の消滅時効は、当該供託の基礎となった事実関係をめぐる紛争が解決する等により、供託当事者において払渡請求の行使が現実に期待することができることとなった時点から進行する。
●弁済供託における供託物の取戻請求権の消滅時効は、債権者不確知による弁済供託の場合を含め、供託の基礎となった債務について消滅時効が完成するなど、供託者が免責の効果を受ける必要が消滅したときから進行する。
●元本の受取人と供託金利息の受取人が異なるには、利息請求権の消滅時効は、元本を払い渡した日の翌日から進行し、10年で時効が完成することになる。
●保証供託金の利息は、民法第169条の定期給付債権とされており、5年で時効が完成することになる。
●還付請求権と取戻請求権は、それぞれ独立した別個の請求権であることから、一方の供託物払渡請求権について時効の中断事由が生じても、他方の消滅時効は中断しない。

長文お疲れ様。

つづく・・・

 
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 14:56| Comment(0) | 供託法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月30日

独学院 供託金利息から

総理大臣が代わっても、いつも通り参りましょう。

 供託金には、利息(年0.024%)が付されるものとされている。供託制度に対する信用を高め、供託制度を利用しやすくするという政策的配慮によるものである。
 ただし、この供託金利息は、供託金の受入の月及び払渡の月については付されない。また、供託金の金額が1万円未満であるとき又は供託金に1万円未満の端数があるときは、その全額又は端数金額についても付されない。

 供託金の利息は、原則として、元本と同時に払い渡されるが、元本の受取人と供託金利息の受取人が異なる場合等同時に払い渡すことができないときは、元本を払い渡した後に払い渡すものとされている。
 元本の受取人と供託金利息の受取人が異なる場合とは、例えば、元本又は利息の払渡請求権のみについて、譲渡、差押又は添付命令があった場合等である。この場合には、権利移転時を基準として、日割り計算により、その前日までの利息を譲渡人等に、その日以降に生じた利息を譲受人に払い渡すこととなる。
 また、保証として金銭を供託した場合には、毎年、供託した月に応当する月の末日後に、同日までの利息の払渡しを受けることができる。担保供託(保証供託)の担保の効力は、元本のみに及び、利息には及ばないことから、供託金の元本とは切り離して、その利息のみを払い渡すことができることとしたものである。

供託金利息の払渡手続

 元本の受取人と供託金利息の受取人が異なる場合や保証として金銭を供託した場合において、供託金の利息のみの払渡しを受けようとするときは、供託金利息請求書1通を供託所に提出しなければならない。
 これに対して、元本と利息を同時に払渡請求証とするときは、供託金払渡請求書を提出すれば足り、別に供託金利息請求書を提出することは要しない。

 供託金利息請求書には、副本ファイルの記録により払渡を受ける権利を有することが明らかである場合を除き、利息請求権の譲渡証書等利息の払渡しを受ける権利を有することを証する書面を添付しなければならない。
 また、供託金払渡請求の場合と同様に印鑑証明書、資格証明書、代理権限証書の添付又は提示をする必要がある。なお、供託物払渡の一括請求の規定は、供託金の利息の払渡しの場合についても準用されている。

利札(りさつ)

 利札とは、利息債権を表彰する無記名債券をいう。利札は、元本債権に付属して一体として発行されるが、元本債権から分離することにより独立してその権利を行使することができるものである。

 保証のために有価証券を供託した場合、その効力は供託有価証券のみに及び、利札には及ばないことから、利札の支払期(渡期)が到来したときは、いつでも、その払渡を請求することがでいるものとされている。なお、支払期到来前における利札の払渡請求は認められていない。

供託有価証利札の払渡手続

 保証のため有価証券を供託した者が、支払期の到来した利札の払渡しを受けようとするときは、供託有価証券利札請求書2通を供託所に提出しなければならない。
 また、供託有価証券利札請求書には、供託金利息請求の場合と同様の書面を添付又は提示しなければならないものとされている。
 なお、供託物払渡の一括請求の規定は、供託有価証券の利札の払渡しの場合についても準用されている。

供託関係の変動

 供託物払渡請求権は、供託物に対する実体的請求権であることから、これを譲渡し又は質入れすることができ、また、強制執行や滞納処分による差押え等の処分の制限の対象となるし、時効により消滅することもある。
 また、払渡請求権の行使は、一身専属の権利ではないことから、相続の対象となるし、債権者代位の目的ともなる。
 そのため、供託の成立後、払渡請求権が行使され供託関係が終了するまでの間に、供託関係にさまざまな変動が生じる場合がある。供託関係には、供託法上において認められている特殊な手続によって変動するほか、払渡請求権の処分、払渡請求権に対する処分の制限及び払渡請求権の消滅等より変動する。

<供託関係の変動の要因となるもの>

●供託法上の特殊手続((代供託・付属供託・供託物の差替え、保管替え)
●払渡請求権の処分
●払渡請求に対する処分の制限
●h来私請求権の消滅

供託法上の特殊手続

<代供託>

 代供託とは、供託有価証券の償還期限が到来した場合において、供託物を受け取るべき者からの請求によって、供託所の内部手続きによりその償還を受け、その償還金をもって供託を継続する手続のことをいう。

<附属供託>

 附属供託とは、支払期の到来した利息、配当金につき、供託物を受け取るべき者からの請求によって、供託所の内部手続きによりその支払いを受け、支払を受けた金銭をもって供託有価証券の元本債権に付属させる手続のことをいう。
 保証のために有価証券を供託した場合を除き、供託有価証券の払渡し前にその利札の払渡しを請求することはできないため、利札について支払期が到来したときは、これにより支払を受けるべき利息金につき附属供託をする実益がある。

<供託物の差替え>

 供託物の差替えとは、裁判上の担保供託又は営業保証供託において、裁判所又は監督官庁の承諾を得て、新たな供託をして従前の供託物を取戻す手続、すなわち、供託者の必要に応じて供託物を金銭から有価証券や振替国債に、有価証券や振替国債を金銭に、又は有価証券を他の有価証券に差し替えるといった交換的な供託物の受払手続のことをいう。

<供託物の保管替え>

 供託物の保管替えとは、営業保証供託において、営業所等の移転により管轄供託所に変更を生じた場合に、供託所の内部手続きにより、旧宅物である金銭又は振替国債を、新たな営業所等を管轄する供託所に移管することをいう。

特殊な供託手続に関する先例等

●供託物の一部につき差替えをすることは認められている。

つづく・・・
ラベル:供託法
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 08:00| Comment(0) | 供託法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月28日

独学院 供託物の払渡請求の認可とその交付から

総理大臣は誰になるのでしょう。参りましょう。

 供託物の払渡請求が適法にされ、供託官がこれを認可すべきものと認めたときは、供託物の交付がされるが、供託物の交付方法は、供託物の交付がされるが、供託物の交付方法は、供託物の種類に応じて、次のように異なる。

(1)供託物が金銭である場合

 日本銀行あての記名式持参人払小切手が交付され、振り出し日から1年以内にこれを日本銀行に提示することにより現金化することができる。なお、小切手の振り出しに代わる方法として、払渡請求書に記載しておくことにより、隔地払、預貯金振込又は国庫金振替の方法により交付を受けることもできる。また、電子情報処理組織による払渡請求の場合における供託金の交付は、預貯金振込又は国庫金振替の方法に限られている。

(2)供託物が有価証券である場合

 供託官から、振替機関である日本銀行に対し振替申請がされ、請求者の口座に振替の手続がされることにより、振替国債の払渡しを受けることとなる。

配当等による払渡の特則

 配当その他官庁又は公署の決定によって供託物の払渡しをすべき場合には、当該官庁又は公署は、供託所に対して供託物の払渡しを委託(支払委託)し、配当等を受けるべき者が供託物の払渡しを請求した際には、供託所は、当該委託に基づき供託物の払渡しを行う。
 例えば、債権に対して差押えが競合した場合には第三債務者により当該債権に係る金銭の全額が供託され、当該供託金について、執行裁判所により配当が実施される。
 この場合、配当に基づく供託金の払渡しは支払委託によりされるため、執行裁判所の裁判書記官は、供託所に対して支払委託書を送付し、また、払渡し(配当)を受けるべき債権者に対して支払証明書を交付する。
 支払証明書の交付を受けた債権者は、自ら供託所に払渡請求をすることにより配当に係る供託金を受領することになるが、当該払渡請求においては、払渡請求書に支払証明書を添付しなければならない。

留保付供託受諾

 留保付供託受諾(留保付還付請求)とは、例えば、家賃の増額の効力が争われ、受領拒否を原因として地代家賃の弁済供託がされた場合のように弁済供託における債権額に争いがある場合に、債権金額に対する弁済の効力を認めたと解される恐れを避けるために、被供託者が当該供託金につき債権額の一部として受領する旨の留保を付して、供託金の払渡し(還付)を受けることをいう。

 賃貸人の家賃等の増額請求に対し、これを争う賃借人が相当と認める額の賃料を提供したが、その受領を拒否された場合には、賃借人は、受領拒否を原因としてこれを供託することができるものとされている。

 これに対して、債権額に争いがある場合に債務者(供託者)が債務の全額として供託した金額を、債権者(被供託者)が通常の還付手続によって受領したときは、特段の事情がない限り、債務者は完全に免責されるものとされている。
 そのため、債権者が自己の主張を維持するために供託物の受領を紛争の解決まで待たなければならないものとすると、供託金が多額である場合など債権者が大きな不利益を被るおそれがある。そこで、金額の争いのある債権の供託金につき債権者が債権額の一部として受領することを可能とするため、払渡請求書の備考欄に「供託受諾。ただし、債権額の一部として受領する」旨の記載をして、留保付供託受諾をすることが認められている。

留保付供託受諾が認められない場合

 留保付供託受諾(留保付還付請求)は、債権額に争いがある場合に、債務者が債務の全額に相当する額を供託した金額を債権者が債権額の一部として受領することを可能とするため、認められているものである。

 留保付供託受諾は、このような場合にのみ認められているにすぎず、債権の性質を異にして供託を受諾する旨の払渡請求については認められていない。これを認めると、債務者が供託の本来の目的を達し得ないままに取戻請求権を失うこととなるからである。

 したがって、例えば、家賃の弁済供託があった場合に、債権者(被供託者)がこれを賃貸借終了後の賃料相当額の損害金として受領する旨を留保して供託金の払渡しを受けることができない。

留保供託受諾に関する先例等

●数月分の家賃として弁済供託がされている場合に、「1月分の家賃弁済として受諾する」旨の留保を付して、還付請求をすることはできない。
 数月分の家賃として供託された金額を1月分の家賃弁済として還付請求するのは、債権の性質を異にして供託を受諾する旨の払渡請求するのは、債権の性質を異にした供託を受諾する旨の払渡請求に当たるからである。なお、これに対して、数月分の家賃が一括して弁済供託されている場合に、そのうち一部の月の家賃についてのみ供託を受諾して(数月分の家賃供託のうち、1月分の家賃に相当する供託金を1月分の家賃弁済として)、還付請求することはできる。

●地代家賃の増額に伴う弁済供託(地代3000円、家賃3000円)に対し、債権者が「供託は受諾する。ただし、地代、家賃のいずれも増額要求金額(地代4000円、家賃3500円)に満たないので、増額請求した地代に相当する4000円のみを受諾する」旨の受諾書を提出して還付請求をしても、払渡認可はできない。

供託物払渡の一括請求

 同一人が数個の供託について同時に供託物の還付を受け、又は取戻しようとする場合において、払渡請求の事由が同一であるときは、一括してその請求をすることができる。

(1)同一人が数個の供託について同時に供託物の還付を受け、又は取戻しをしようとする場合であること

 ここでいう同一人とは、払渡請求権者のことを指す。したがって、被供託者を異にする数個の供託については、同一の代理人によって払渡請求をする場合であっても、これを一括して請求することはできない。

(2)払渡請求の事由が同一であること

 供託物の還付と取戻しの一括請求、供託不受諾を理由とする取戻しと錯誤を理由をする取戻しの一括請求等は認められない。

 なお、供託物払渡の一括請求の規定は、供託金の利息又は供託有価証券の利札の払渡しの場合についても準用されている。

一括請求に関する先例等

●同一人で数件の供託について異なった印鑑を使用していた場合には、取戻請求権の備考欄に供託番号、金額等を表示し、各供託書に押印されたものと同一印鑑を押印して一括して取戻を請求することができる。

●各別になされた数人の弁済供託について、同一代理人から一括して払渡請求することはできない。

つづく・・・
ラベル:供託法
posted by 94条2項の類推適用されずじまい at 11:23| Comment(0) | 供託法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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